しかし、信頼できるアウトソーシング先をどのように選んだらいいのか分からない事業者様も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、物流アウトソーシングについて解説するとともに、選び方やメリット・デメリットまで詳しくご案内します。自社業務の委託先を検討する際にぜひお役立てください。
目次: 1. 物流アウトソーシングとは?意味や自社物流との違いを解説
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まず、物流アウトソーシングについて解説します。言葉の意味や自社物流との違いを確認しておきましょう。
物流アウトソーシングとは、自社で行っている物流業務を外部の専門業者に委託することです。大きく分けて3種類のサービス形態に分類されます。
どのような作業を委託したいのかを明確にし、自社の希望をあらかじめまとめておくことが重要です。
自社物流と物流アウトソーシングの大きな違いは業務形態です。物流代行業者にはオペレーションを筆頭とした物流ノウハウがあり、常に商品を滞りなくお客様まで届けることを優先に考えています。
自社物流の場合、受注から発送まですべての業務を担うため、人手不足によって出荷が遅れてしまうといった状況が発生します。事業が拡大すれば倉庫の空きもなくなり、また新たに保管場所を探さなくてはなりません。
物流アウトソーシングを利用することで人員や倉庫の空き状況、在庫管理などで悩むことがなくなり、物流以外の業務に専念できます。結果的に販売機会の損失を防ぎ、業務の効率化につながるでしょう。
こちらでは、物流アウトソーシングで委託できる主な業務を紹介します。
自社物流の課題がどの部分にあるのかを明確にし、委託する商品の選定や業務内容を見極めましょう。
物流代行業者は日々さまざまな商品を取り扱っているため、決められた手順で入荷から棚入れまでの作業をスムーズに行います。正確で迅速な対応力が求められる作業ですが、委託することで事業拡大時や大量入荷の際の対応も安心です。
より良いオペレーションを構築するためには、入荷予定データがあると良いでしょう。効率化するうえで、物流代行業者と連携をとることが大切です。
ロットやSKU(管理単位)の多い商品を適切に保管し、容積効率を考慮した在庫管理を行えます。容積データを提供するか、容積データの取得が可能な業者への依頼も有効です。
また、委託することで無駄のないロケーション管理を行えるため、結果的にコスト削減につながるのもメリットです。閑散期や繁忙期の差が激しい商品の取り扱いで保管場所に悩む心配もありません。
出荷作業はピッキング・検品・梱包といった工程に分類され、なかにはラッピングや熨斗などのVAS(付加価値サービス)が発生するものもあります。慣れない作業者にとっては時間がかかる作業です。
多彩な商品を取り扱う物流代行業者であれば、現状よりもさらに効率的な出荷作業の提案も行えます。付帯作業に対応できる業者を選定することで、自社のこだわりをそのまま実現できるでしょう。
人手不足だと業務を圧迫しがちな流通加工も委託できます。
委託できる作業内容はアウトソーシング先によっても異なりますが、自社で行うよりも余裕をもって進められます。人手不足で作業が追いつかないという心配がありません。
破損・汚れ・異物・商品違い・商品入れ替えなど、返品になる理由はさまざまです。取り扱う商品数が多い場合は、返品理由をチェックしながら良品・不良品を分別する作業に時間がかかるでしょう。委託することで定期的に不良品を分類できるため、ほかの業務を圧迫する心配がありません。
正確な在庫数を把握するうえで定期的な棚卸が重要です。物流アウトソーシングで棚卸まで委託することで、より精度の高い在庫管理が行えます。また、違算が出たときのルールまできちんと決めておくことが重要です。
EC通販事業の場合、物流業務と受注代行を一元管理できるアウトソーシング先を選定すると業務の効率化につながります。受注業務をプロに任せることで顧客満足が向上し、問い合わせの増加・技術不足・人手不足などの問題が解消されるでしょう。
こちらでは、物流アウトソーシングで得られるメリットを大きく4つに分けて紹介します。
自社物流の場合、閑散期や繁忙期に関わらず一定の人件費がかかります。アウトソーシングなら出荷の波動に合わせた人員調整を行えるため、人件費の大幅な削減が可能です。
また、自社に適したサービス形態のある物流代行業者を選択することで、自社物流で倉庫をもつよりもコストを抑えられる可能性が高くなります。物流全体にかかるコストを明確にできる点もメリットです。
物流に関わる業務を委託することで、それ以外の業務に専念できます。事業拡大や商品の選定など、事業全体を見直すきっかけにもなるでしょう。
なお、物流代行業者はさまざまな商品を取り扱い、専門的な経験と技術があります。効率化するための対策なども考えてくれますので、業務全体を改善し、利益の拡大にもつなげられるでしょう。
多くの倉庫で倉庫管理システム(WMS)の導入が進んでおり、物流に関わる業務をスピーディーに行えます。リアルタイムな在庫管理をはじめ、出荷における商品違いや数量違い、賞味期限などを瞬時に把握することが可能です。
自動化が進んでいる物流代行業者なら、人為的なミスを減らし、安定した品質を保てます。なかでも物流ロボットは、同じ作業を繰り返すことが得意です。仕分けやピッキングなど、ミスが発生しやすい作業ほど、品質の向上に大きく貢献します。
物流業界の需要が高まるなか、自社物流の人手不足で出荷が遅れてしまうと顧客満足に影響します。忙しさを理由に標準作業から逸脱する作業者が生まれ、品質の低下につながる恐れもあるため注意が必要です。過負荷による退職者も出始めるでしょう。
アウトソーシングすることでトレンドや季節の波動に対応でき、迅速にお客様に商品を届けられる点がメリットです。人手不足で悩む心配がありません。
EC通販事業であれば、受注代行もまとめて委託できる業者を選定するのも顧客満足の向上における一つの手段です。一元管理することでお客様からのお問い合わせ対応を迅速に行えるようになり、欲しいタイミングで購入につなげられます。
物流アウトソーシングのデメリットは大きく分けて3つあります。
それぞれ確認し、対策を整えておきましょう。
物流アウトソーシングは委託先によって対応幅が異なります。メッセージカードの同梱やラッピングなど、今までお客様一人ひとりの要望に合わせて対応していたサービスができなくなったり、簡易的になってしまったりする可能性もあるでしょう。
また、自社の希望する作業に対応できたとしても、予定していた以上に費用がかさんでしまうかもしれません。コストと対応幅を考慮して適した業者を決めることは時間がかかる作業です。
アウトソーシングすることで業務を効率的に進められるようになりますが、自社にノウハウが蓄積しないという問題が生じます。将来的に自社物流の構築を目標としている場合はデメリットになる部分です。
自社にノウハウを蓄積するためには、作業マニュアルを共有し、定期的に委託先を訪れて保管方法や出荷の流れを確認することが大切です。現場の様子を自社スタッフが実際に視察することで、更なる改善点の提案にもつながるでしょう。
物流アウトソーシングをするうえで、何らかのトラブルが起きたときに責任の所在が不明になりやすい点もデメリットの一つです。
例えば物流アウトソーシングを利用する事業者様の中には、自社倉庫に入らない大型商品の保管のみを委託しているケースもあります。輸送・保管・出荷を担当する業者がすべて異なるため、万が一商品にキズが見つかった場合、どのタイミングでできたものなのか断定できないかもしれません。
そのため起こりうるトラブルを想定し、責任の所在を明確にすることが求められます。作業を任せっきりにせず、マニュアルを共有したうえでこまめなコミュニケーションをとることも大切です。
こちらでは、物流アウトソーシングで失敗しないための選定ポイントを5つ紹介します。
入念に比較し、信頼できる物流代行業者を選びましょう。
希望する業務をどこまで行えるのか、委託先の対応幅で選ぶことが重要です。その際、自社が抱える課題を明確にし、優先順位をつけることで、コストを抑えて必要な部分のみをアウトソーシングできます。
「縫製加工の委託は欠かせない」「ラッピングサービスは絶対に継続したい」など、自社のこだわりを重視すると選ぶべき業者の種類が絞られます。起こりうるイレギュラーを洗い出し、どのような業務が必要になるのか細かく伝えておくことが重要です。
また、業務形態によっては物流アウトソーシングではなく、自社倉庫を自動化したほうが効率化やコスト削減につながるかもしれません。当社プラスオートメーションでは”現場の課題を解決する”ことを目的とし、ヒアリングや現地視察、専用ソフトによるシミュレーションを通じて最適な解決策を提案いたします。お気軽にご相談ください。
温度管理が必要な商品など、自社商品の保管に適した環境であるか確認しましょう。実際に倉庫を見学し、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)ができているか、従業員の雰囲気はどうかなども確認できると安心です。
また、自社・仕入先・発送エリアのどこに拠点を構えるかもしっかりと考えましょう。自社から近い場所であればトラブル時にすぐ対応でき、仕入先や発送エリアの多い場所を拠点とすれば配送コストを削減できるなど、それぞれで得られるメリットが異なります。
今までの取り扱い商品の実績を確認しておきましょう。自社商品と同様の商品の取り扱いに慣れた物流代行業者であると安心です。
専門的な資格を必要とする商品や賞味期限を管理する食品、高価な商品など、しっかりとした設備が整っていないと取り扱いが難しいものもあります。どのような運用をしているのかも聞いてみましょう。
見積もりは作業一式で出す方法と明細単位で出す方法があります。作業一式だとどこまで対応してもらえるのかが分かりにくいため、対応範囲を明確にすることが重要です。
精度の高い見積もりをもらうためは、以下の点をまとめておきましょう。
ほかにも、今までのイレギュラー事例など、起こる可能性がある事項を事前に伝えておくことで、より具体的な明細の作成につながります。
トラブル時の責任があやふやにならないように、いざというときにどのような対応をしてもらえるのか明確にしておく必要があります。たった一度のミスが大きな損失になりかねません。
また、ただ委託するだけでなく、業務効率や利益を考えて改善策を提案してくれる業者であることが望ましいです。自社が抱える課題を解決できる環境であるか、提案力を見極めましょう。
物流アウトソーシング(外部委託)に切り替えることで、業務の効率化をはじめ、さまざまなメリットが得られます。事業の成長を妨げないためにも、できる限り早い段階でアウトソーシングを検討することが理想的です。
ただし、自社の課題を明確にしたうえでアウトソーシング先を選ばないと、コストばかりかさんでしまい事業を圧迫する可能性もあります。場合によってはアウトソーシングではなく、自社物流の改善を行うほうがコスト削減につながるかもしれません。
自社にとって「どの方法を行うと最も効果がでるのか」を検討したうえで、施策を行っていきましょう。
プラスオートメーションでは、事業者様の抱える課題に対し、最適な解決策を提案いたします。最適な方法がロボットであった場合は、適切なロボットのご提案も可能です。「何を改善すべきか分からない」「アウトソーシングが必要か判断できない」など、お悩みや心配ごとがありましたら、お気軽に以下のご相談フォームよりお問い合わせください。