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アパレル業界が在庫管理で抱える5つの課題|最適化する7つの方法とともに紹介

作成者: +A 編集部|22/06/10 0:10

アパレル業界で取り扱う商品は多岐にわたり、衣服・帽子・靴・アクセサリーなどカテゴリはさまざまです。さらに性別やサイズ、用途によって細かく分類されます。商品ごとに適した管理方法が必要であり、製品ライフサイクルが短い点が特徴です。

この記事では、アパレル業界が在庫管理で抱える課題を確認するとともに、在庫管理を最適化する方法を7つ紹介します。アパレル商品の在庫管理で悩む企業は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1. アパレル業界が在庫管理で抱える5つの課題

まず、アパレル業界が在庫管理で抱える課題から確認していきましょう。

  1. 需要予測が難しい
  2. 在庫リスクが高い
  3. 適正在庫に対する意識の低下
  4. 品質と保管効率を考慮した在庫管理が難しい
  5. 入荷・出荷ミスが発生しやすい

それぞれの課題について詳しく解説します。

(1) 需要予測が難しい

アパレル商品は需要予測が難しく、適正在庫を判断することが非常に困難です。それには以下のような点が影響しています。

  • トレンドによる変化
  • 季節による温度差
  • 地域や環境による売れ筋商品の違い

例えば防寒コートを販売する場合、降雪量が多い地域と少ない地域では需要量が異なります。

あまり注目されていなかった商品が、芸能人の着用やSNSによる拡散でいきなり人気が出ることも、アパレル業界でよくあるケースです。

トレンド商品であっても必ず売れるとは限りません。製品ライフサイクルが短いものほど、需要予測が難しくなるでしょう。

(2) 在庫リスクが高い

アパレル業界の多くは、店舗で売れ残った商品が倉庫へ返品されます。倉庫では返品されることを考慮して在庫管理を行う必要があり、在庫リスクが高くなります。新商品も常に増え続けるため、管理コストの増加や品質の低下なども課題となるでしょう。

返品された商品は、アウトレット処分やファミリーセールなどで価格を下げて販売されることもあります。定価販売の期間が短く、簡単に処分できないのがアパレル商品の特徴です。

(3) 適正在庫に対する意識の低下

売れ残った商品をアウトレット処分などで販売できることが当たり前となり、適正在庫を保つという意識が低下しています。本来の目的は定価販売で利益を得ることであり、どんな方法でも売れればいいというわけではありません。

値下げにより販売機会を増やすのは、利益を得るうえでいい取り組みかもしれません。しかし、アパレル事業者の「売れ残ったら値下げすればいい」という考え方が当たり前になることには、注意が必要です

(4) 品質と保管効率を考慮した在庫管理が難しい

アパレル商品を適切に保管するうえで、品質と保管効率の両方を考慮することが大切です。しかし、アパレル商品は形やサイズ、素材などの種類が多く、品質を優先させると保管効率が低下しやすくなります。

例えば衣服はしわになりやすいため、型崩れを考慮しなければなりません。ほかにも、アパレル商品特有の在庫管理には以下のような保管方法があります。

  • コートなどの厚みのあるものはハンガーラックに掛ける
  • アクセサリーは引き出しタイプのキャビネットで保管
  • 高価な装飾品は鍵付きのキャビネットで保管

ブランドイメージを損なわないためにも、品質を考慮した保管が重要です。ブランドによっても管理方法が異なるため、保管効率を考慮するのがなかなか難しくもあります。

(5) 入荷・出荷ミスが発生しやすい

目視での検品を行っている倉庫の場合、商品の種類が多く、サイズの見間違えによるミスが発生しやすくなります。在庫数が狂いやすく、正確な在庫数を把握できません。

また、袋同士がくっつきやすいものもあり、数量間違いが起こりやすいのもアパレル商品の特徴です。ミスを発生させないための対策を整える必要があります。

 

2. アパレル業界の在庫管理を最適化する7つの方法

アパレル業界は在庫管理が難しいからこそ、可能な限り最適化しておくことが重要です。こちらでは、最適化するための方法を7つ紹介します

  1. 在庫状況を”見える化”する
  2. 定期的なレイアウトの見直し
  3. 作業を簡素化する
  4. 滞留在庫を把握できる仕組みを整える
  5. 在庫管理システムの導入
  6. アウトソーシングの検討
  7. 入荷・仕分け・出荷作業を自動化する

できるところから改善し、在庫管理がしやすい仕組みを整えましょう。

(1) 在庫状況を”見える化”する

在庫状況を”見える化”し、作業に携わる従業員が在庫状況を判断しやすい環境を整えることが大切です。どこに何があるのか分かりにくい状態だと、在庫が多く残りがちな商品に気付きにくく、適正在庫に対する意識が低いままになってしまいます。

見える化を意識することは、売れ筋商品を把握し、販売機会の損失を防ぐうえでも有効です。適正在庫の意識が高まれば、割引や値引き販売の量が減り、ブランド価値も高まるでしょう。

(2) 定期的なレイアウトの見直し

アパレル商品の特性を見極め、定期的にレイアウトの見直しを行いましょう。季節やトレンドによって変動しやすい商品と定番商品を分け、無駄なく動ける導線でレイアウトを組むことがポイントです。

在庫管理を効率化するためには、商品の入れ替え時に合わせてレイアウトを見直すと良いでしょう。入れ替えが頻繁な商品はフリーロケーションで管理されることも多いですが、類似商品をまとめるなど、スムーズに出荷できる体制を整えることが大切です。

(3) 作業を簡素化する

人の手による作業が中心なら、ハンディターミナルやRFIDを用いることで作業を簡素化できます。業務効率がアップし、在庫管理をしやすくなる点がメリットです。

複雑な作業が多いほどミスが起こりやすくなり、在庫管理が煩雑になります。在庫管理だけでなく出荷ミスの多さに悩んでいる企業にとっては、簡素化することでさまざまな効果を得られるでしょう。

(4) 滞留在庫を把握できる仕組みを整える

滞留在庫(倉庫内にある売れ残りの在庫)をきちんと把握できていないと、保管効率が低下し、在庫管理が煩雑になりがちです。滞留している商品と日数が把握できるようなリストを作成するなど、倉庫内の商品状況を把握できる仕組みを整えましょう

委託されている商品であれば、滞留在庫を事業者と共有することが重要です。お互いが滞留在庫を認識することで、保管スペースにかかるコストを削減できます。

(5) 在庫管理システムの導入

取り扱う商品が多くなるほど、Excelでの管理が難しくなります。在庫管理システムを導入し、管理体制を最適化しましょう。

在庫管理システムを導入すれば、リアルタイムで在庫状況を把握できます。各店舗の在庫状況も分かるので、状況に応じて店舗間での商品移動も可能です。さらに、ECショップを含めた在庫状況も連携できるようになります。

(6) アウトソーシングの検討

自社での在庫管理がうまくいかないことで業務に支障が出ているのであれば、アパレル商品に強い倉庫へアウトソーシングするのも最適化する方法です。その分ほかの業務に専念できれば、ブランドの拡大などにつなげられます。

例えばEC・通販事業者であれば、フルフィルメントタイプの倉庫への委託が良いでしょう。ささげや流通加工、お客様への対応といった一連の業務を任せられるため、トレンドに乗り遅れずに商品を販売できます

(7) 入荷・仕分け・出荷作業を自動化する

入荷ミスや出荷ミスにより生じた在庫の差異は、適正な在庫管理に影響を及ぼします。特に作業者が目視で検品を行っていたり、ヒューマンエラーを防ぐ仕組みの無いオペレーションではどうしてもミスが生じてしまいます。根本的にミスを防ぎたい場合は、倉庫内の入荷や仕分け出荷作業の自動化も検討してみましょう。人為的なミスを減らせるだけでなく、業務の効率化にもつながります。

こちらでは、当社プラスオートメーションで提供している2種類のロボットを例にし、自動化することでどのようなメリットが得られるのかを紹介します。

 

・次世代型ロボットソーター「t-Sort」

t-Sortは、仕分け作業をサポートする小型のロボットソーターです。店舗別・オーダー別・方面別の仕分けや、入荷時・返品商品の仕分けなど、仕分け作業全般を効率化できます。効率化だけではなく商品をスキャナーで読み取り、ロボットに積載して搬送するため、検品工程も担うことが可能です。自社開発の検品システムを提供させて頂くため、お客様は検品に必要な商品のスキャンコード情報と作業数量を提供するだけでシステム検品を行えます。

当社では、以前アパレル商品を取り扱う倉庫に18台のt-Sortを導入しました。シュート設置数を180箇所にすることで、1時間当たりおよそ1,300投入分の処理を実現しています。

バーコードを読み込めば自動的に商品を仕分けてくれるため、手作業のように悩むことがありません。特に返品が多いアパレル業界では、返品商品を仕分けるための時間の確保も必要です。業務を効率化できるとともに、仕分け作業にかかる人件費を大きく削減できます。

 

・次世代協働型ピッキングロボット「ラピュタAMR」

ラピュタAMRは、自律走行により、ピッキング時の運搬をサポートしてくれる協働型ロボットです。レーザーによる障害物検知機能が付いているため、作業者と接触する心配がありません。こちらも商品をスキャナーで読み取り、ロボットに積載して搬送するため、検品工程を担うことが可能です。

商品の種類が豊富なアパレル倉庫では、広い倉庫内を歩き回ってピッキングをする必要があります。移動時間がタイムロスとなり、作業者の生産性に大きな差が生じるのもアパレル業界が抱える課題の1つです。

ラピュタAMRに運搬を任せることで、移動時間のタイムロスをなくし、生産性の差を改善できます。作業者の負担を軽減できる点も導入するメリットです。

 

3. まとめ

需要予測が難しいアパレル業界の在庫管理を効率化するためには、在庫状況を”見える化”し、適正在庫への意識を高めることが大切です。「売れなかったら値引きすればいい」という考え方が当たり前になってしまうと、ブランド価値を下げる原因にもなります。

商品が増えて管理しきれなくなっている状態であれば、アウトソーシングや自動化も検討してみましょう。プロに任せることでその分ほかの業務に専念でき、ブランドの更なる拡大につなげられます

当社プラスオートメーションでは、倉庫の自動化に関するご相談もお受けしています。お悩みやご不明な点がありましたら、下記のフォームよりお気軽にお問い合わせください。