物流コストは、物流業務全体にかかるすべてのコストの総称です。商品が入荷してから顧客に届くまでの費用だけでなく、届いた商品に問題があれば返品対応にかかったコストも含まれます。
物流コストは支払形態別・領域別(物流プロセス別)・機能別の3種類で大別されるのが特徴です。それぞれの内訳について解説します。
支払形態で分類した物流コストは以下の2種類に分けられます。
支払物流費 | 外注先に支払うコスト |
社内物流費 | 自社内で発生したコスト |
支払物流費には、倉庫の賃料や運送費、社外に委託して発生した費用などが含まれるのが特徴です。
なお、日本ロジスティクスシステム協会による2023年度の調査によると、全業種における物流コストの支払形態別構成比の86.2%を支払物流費が占めていると報告されています。
(参考:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会/2023年度物流コスト調査報告書【概要版】)
社内物流費は、システム運用費や人件費、資材など、倉庫内の環境を整えるために必要な費用のことです。自社トラックでの運送も含まれます。
領域(物流プロセス)で分類した物流コストは以下の3種類に分けられます。
調達物流費 | 原材料の調達にかかるコスト |
社内物流費 | 社内業務、製造工程におけるコスト |
販売物流費 | 商品の販売時にかかるコスト |
製造から販売までのプロセスごとに切り分けて考えるのが特徴です。広義には、調達物流費以外のすべてのコストを販売物流費とするケースもあります。
機能で分類した物流コストは、企業によって項目が異なります。こちらでは、日本ロジスティクスシステム協会が毎年公開している「物流コスト調査報告書」をもとに、5種類の機能に分類して紹介します。
物流コストを削減するうえで、これらの内訳をしっかりと把握することが重要です。
輸送費は、荷物を目的地まで運ぶときにかかる費用です。自社トラック・宅配業者・チャーター便・航空便・船・鉄道などの手段を用いて運ぶことで発生する運賃が該当します。費用は事業者ごとに異なるのが特徴です。
保管費は、荷物を倉庫などで保管するときにかかる費用です。賃借料・保管料・入出庫料などが該当します。自社倉庫で保管する場合と、他社に保管を委託する場合で、保管費は大きく異なります。
荷役費は、積み降ろし・運搬・入庫・出庫・仕分け・ピッキングなど、荷役にかかる費用のことです。輸出に関わる諸経費も荷役費として計上されます。
物流管理費は、物流を管理するためにかかる費用のことです。物流システムの導入、物流担当者の人件費(給与)などが含まれます。
包装費は、商品や荷物を梱包するためのダンボールやテープ、緩衝材など、作業にかかる費用のことです。商品や個装する包装費と、包装された商品を箱に詰める梱包費で分けて考えられることもあります。
こちらでは、物流コストの削減につながる方法を7つ紹介します。
自社で改善できる部分がないか、ぜひ参考にしてみてください。
ひとまとめに”物流コストの削減”と言っても、実際にどのような項目を改善したらいいのか判断しにくい部分があります。作業工程ごとに「見える化」し、ムダを把握することが重要です。
作業ごとにどのような課題があるのかを洗い出すところから始め、コスト削減に向けた具体的な目標を設定しましょう。
5Sは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の総称です。
5Sの導入は業務効率・労働環境を改善し、コスト削減につながる取り組みです。破損や汚れを防いで品質を保ったり、倉庫環境を整えることでムダやミスを減らしたりすることで、物流コストを削減できます。
ただ導入するだけでなく、明確な目標を設定して中途半端にならないようにすることが大切です。
マニュアルを作成し、作業手順をルール化することで、業務における無駄を省けます。入庫・荷役・出荷・棚卸など、各業務の手順を定めることが大切です。
マニュアルが用意されていれば、新人教育時にかかる時間も短縮できます。作業者によって手順が異なることで発生しやすいミスなども改善できるでしょう。
複数の物流拠点がある場合、集約することでコスト削減につながります。拠点が多くて管理費や維持費がかかる、輸送コストの占める割合が高いといった問題を改善できるでしょう。
ただし、拠点の集約によって配送距離が長くなったり、運賃が高くなったりすることも考慮しなければなりません。
仕入先の近くに拠点を構えるのか、配送までのリードタイムを短縮させたいのかなど、何を優先させたいのかを明確にすることが大切です。
倉庫管理システム(WMS)は「Warehouse Management System」の略称で、倉庫内の業務を一元管理し、効率化するための仕組みです。入出荷管理・在庫管理・棚卸管理機能などを搭載し、倉庫内の情報をリアルタイムで把握できます。
導入コストがかかりますが、高い費用対効果が見込め、物流コストの削減に向けた効果的な施策となります。
人の手による作業が中心であれば、人件費がかさむだけでなく、ヒューマンエラーもなかなか減りません。一人ひとりの負担を軽減するためにも倉庫管理システムの導入が有効です。作業効率も大きく改善するでしょう。
自社で行っている物流業務をアウトソーシングすることで、倉庫の賃料や人件費の削減につながります。課題を抱えている業務をプロに委託できれば、その分ほかの業務に専念できるでしょう。
業務の対応幅は、アウトソーシング先によって異なります。自社と同じような商品の取り扱いに慣れており、効率化するための対策や、コスト削減への取り組みを積極的に提案してくれる企業であると安心です。
ヒューマンエラーや人件費を大きく削減したいなら、物流倉庫の自動化も検討してみましょう。人件費の削減だけでなく、生産性の向上にもつながります。
自動化と聞くと高額な導入コストをイメージしがちですが、当社プラスオートメーションでは、月額定額料金の物流向けのロボットサブスクリプション(RaaS=Robotics as a Service)を提供しています。
初期費用ゼロ、月額使用料のみのシンプルな料金体系となっていますので、先行投資ではなくサービスとしてロボットをご利用いただけるのが特徴です。
例えばSKUが多くて間違えやすい仕分け作業を自動化することで、作業効率が大幅に向上します。導入コストを抑えられるサービスだからこそ、物流コストの削減につながる手助けとなるでしょう。
倉庫管理システムや業務のアウトソーシング、倉庫の自動化がコスト削減につながる有効な方法だと分かっても、導入コストを考えるとなかなか踏み切れない倉庫も多いことでしょう。
費用対効果を考えることはもちろん重要ですが、付加価値を考慮することも大切です。
上記のように、期待できる導入効果は物流コストの削減だけではありません。すぐに高い効果を得られなくても、長期的に見てどのような効果を得られるのか考えてみましょう。
なお、プラスオートメーションが提供するサブスクリプションサービスは、ロボットやシステムを導入することが目的ではありません。プラスオートメーションは、あなたの倉庫に合わせた更なる効果創出のため、継続的にサポートします。導⼊の構想段階から運用時の活用支援まで、倉庫の課題に寄り添い続け、豊富な知⾒に基づく独自のソリューションで、最適な現場オペレーションへと導きます。
物流コストを効果的に削減するためには、物流コストの種類を把握し、どの部分にかかる費用を改善すべきか洗い出す必要があります。すぐにできる方法から始めてみましょう。
なお、倉庫管理システムの導入や業務のアウトソーシング、倉庫の自動化などを検討することも、コスト削減につながる有効な対策です。長期的に見てどのような効果を得られるのか、じっくりと見極めて自社に適した方法を選択しましょう。
プラスオートメーションでは、物流コストの削減に関するご相談もお受けしています。
このようなお悩みやご不明な点がありましたら、下記のフォームよりお気軽にお問い合わせください。