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2024年物流課題とその解決策:WMSの導入とデジタル化時代の物流戦略

作成者: +A 編集部|23/10/23 3:38

物流の2024年問題が顕在化する中、トラックドライバーの負担を軽減し、輸送需要に対して継続的に応えていくためには、倉庫業務の生産性向上と効率化が必要です。
そのプラットフォームとなるシステムがWMS(Warehouse Management System:
倉庫管理システム)です。
デジタル化時代の物流戦略の中核となるWMSについて説明します。
 

 

目次: 

1. 2024年問題と倉庫における『課題』と『解決策』 

2. デジタル化による倉庫の生産性向上 

3. WMSと他システムとの連携による生産性の向上 

4. 倉庫の物流課題を解決する手法 

5. まとめ 

 

1. 2024年問題と倉庫における「課題」と「解決策」 

(1) タイムリミットが近い2024年問題の状況 

物流の2024年問題とはトラックドライバーの時間外労働の上限規制により、輸送のリソースが不足することによる諸問題です。当問題の社会への認知は進みましたが、輸送事業者の状況は好転したとはいえません。輸送費や燃料費等のコストアップは、輸送事業者の負担になっています。輸送の担い手であるドライバーも高齢化する一方で、次の世代の輸送の担い手の確保が課題となっています。 

  

2024年の4月からは自動車運転手の時間外労働時間が、特別条項付き36協定を締結する場合における上限が960時間になります(*1)。従来、トラックドライバーが残業して運んでいた商品が、上限時間の制約によって運べなくなり、オーダーの翌日には手元に届くといった便利な生活が享受できなくなるかもしれません。 

  現実に、ヤマト運輸では2023年6月1日以降、一部区間で宅急便などの届け日を、翌日から翌々日に変更しました(*2) 

  (*1)厚生労働省「時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務」より引用 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html 

(*2)ヤマトホールディングス「一部区間における宅急便などの『お届け日数』と『指定時間帯』の変更について(2023年4月17日 更新)」 

https://www.yamato-hd.co.jp/important/info_230417_1.html 

(2) 人材不足は輸送だけでなく倉庫業務にも影響 

不足しているのはトラックドライバーだけではありません。倉庫においても労働力不足の課題が発生しています。 

  たとえばEC市場の興勢と物流不動産のブームを背景に大型の物流センターが次々とオープンし、人材の需要も高くなっています。一方、物流センターの立地によっては、駅から遠く通勤に不便などの理由で、募集をしても人材が集まらないといった状況が生じています。 

  関東近県の県境に立地する物流センターでは、時給が高い、都心寄りの隣接県の物流センターや米国の大手ECのフルフィルメントセンターに人材が流れる状況も起きています。 


2. デジタル化による倉庫の生産性向上 


(1) WMS - 倉庫の生産性向上を実現するデジタルツール 

労働力の不足が見込まれる中、倉庫においては各種作業の生産性の向上が必須です。その中核となるシステムがWMSです。WMSは生産性の向上のみならず、ロケーション管理や、ステータス管理にすぐれています。保管されているモノの状態によって、保管場所を効果的に分けて管理することができます。 

  倉庫における負荷の高い作業に「入出庫時の検品」があります。従来は作業員が目視と赤鉛筆で確認する属人的な作業でした。しかし負荷が高いことに加え、時間がかかりミスも発生します。作業員によっても作業品質が一定ではありません。 

  しかしWMSを活用することで作業の効率化や作業品質の均質化を図ることができます。 

たとえばバーコードリーダーをWMSと連携させることで入庫検品の負担を軽減し、検品精度を向上できます。 

  RFID(Radio Frequency Identification)と連携すれば、個品ごとのバーコードリーダーのスキャンが不要となります。パレット単位で瞬時に検品を行うことができ、大幅な効率化を図ることができます。ユニクロのレジ待ち行列の課題を一気に解決した、キャッシャーの白い箱に商品を入れるだけで一瞬で購入価格が計算される仕組みと同様です。 

  属人的かつ時間を要した工数や作業の生産性と正確性の向上を実現できるデジタルツールがWMSです。 

(2) WMSで倉庫業務をデジタル化 

人手不足の課題解決には生産性の向上が必要ですが、物流業界ではデジタル化の遅れにより、まだまだ属人的な運用が行われている倉庫が多くあります。在庫管理システムが導入されて在庫は管理できていても、倉庫全体を管理するWMSが導入されていないため、入出荷作業や棚卸など倉庫全体の業務の生産性向上や機能拡張に対する対応が難しく、人的リソースで課題解決をせざるを得ないケースもあります。 

  WMSで倉庫業務をデジタル化することで、属人的な負担を減らすことができます。より少ないリソースで生産性の向上を図り、倉庫の運用が可能になります。 

(3) 人材不足を解消するWMSの活用:デジタル化時代の物流業界の対策 

EC市場の進化でオムニチャネル(*3)が一般化し、従来のモノの流れを軸とした物流の仕組みから、顧客体験(CX:Customer Experienceの略)を軸とした販売・物流の仕組みも生まれています。 

 5Gの普及やChat GPTをはじめとするAIの急速な発展により、社会の変化が加速しています。あらゆるヒト、モノ、コトがデジタルでリアルタイムにつながる時代となりました。 

  物流領域の労働力が不足する中、こうした環境変化へ対応するため、人手に頼っていたアナログな倉庫運用を、デジタル化によって人の手の介在を最小化した運用に変革するなどの DX(Digital Transformation)を図る必要があります。 

  (*3)オムニチャネル:実店舗やネット、SNSなどリアルとネットを融合したタッチポイントや販売経路で顧客へアプローチする方法 

 

3. WMSと他システムとの連携による生産性の向上 

 (1) WMS と連携するシステム(マテハン、自動化機器、TMSなど・・・) 

WMSはマテハン、自動化機器や情報システムと連携することで倉庫全体の業務運用をより効率化することが可能になります。WMSと連携できるシステムは下記の通り、多岐にわたります。WMSはこうしたシステムとも連携できるデジタルツールです。 

  • バーコードリーダ  
  • RFID 
  • 自動倉庫 
  • 各種ソーター 
  • DPS(Digital Picking System:デジタルピッキングシステム) 
  • ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム) 
  • TMS(Transportation Management System:輸送管理システム) 

など 

(2) TMS との連携:輸送業界の2024年問題の最適解 

輸送業界の2024年問題の解決に貢献できるシステムがTMSです。TMSは配車計画、出荷方面やルートの集約、トラックへの貨物の割り付け、配車指示、配送実績や運行実績の管理等を行い、ベテランの配車担当者の属人的な業務を効率化できます。 

  一部には、集約されたルートや配送先ごとに、上流工程のピッキング指示を行う機能があるTMSもあります。 

 WMSとTMSが連携することで、倉庫内のモノの動きと車両の動きが一気通貫で可視化され、全体の業務の流れをより効率化することが可能です。 

バース管理システムを導入し、積み下ろしで待機するトラックの荷待ち時間を削減する取り組みも始まっています。 

 

4. 倉庫の物流課題を解決する手法 

(1) 変化が早い時代の物流課題の解決に適した新たな手法とは 

環境変化が早い時代には、重厚長大な設備投資やシステム開発はリスクになりかねません。 

要件定義、概要設計、基本設計、開発、テストと進めるウォーターフォール方式の設計は、開発段階でタイミングを逸し、膨大なコストだけが残ってしまうかもしれません。 

こうしたリスクを回避し、早期に導入を進めるためには、スモールスタートで運用の最適化と適用範囲の拡大を繰り返すアジャイル方式の活用が望ましいでしょう。 

(2) SaaS、RaaSの活用は柔軟な環境変化にも適用 

アジャイルな課題解決の方法がSaaS、RaaSの活用です。SaaS、RaaSは環境変化に応じて、システムや機器の拡張が柔軟にでき、導入コストやランニングコストを低額にできる点がメリットです。 

  SaaS、RaaSは短期間で導入が可能なため、早期に導入効果の見極めやサービスの継続、拡張ないしは解約の判断ができます。固定資産として自社設備の保有が不要なため、財務面でも有利です。 

  SaaS、RaaSはAPIによって他のシステムとも連携がしやすく、業務に応じた機能拡張が
可能です。 
  

 また、運用に寄り添った活用支援が受けられることもメリットのひとつです。運用の設計から定着、拡大まで伴走してくれるため、導入失敗のリスクを最小化することができます。

(3) WMSもSaaSで低リスク・低コストで早期導入 

現在ではWMSもクラウド型で提供されています。自社にサーバーの設置が必要なオンプレミス型のような投資や開発が必要ないため、低リスク・低コストで導入することが可能です。 

 

5. まとめ 

WMS導入の利点:倉庫の生産性の向上と輸送業界の2024年問題への対策 

WMSを導入することで、属人的な倉庫の作業の生産性を向上することができます。 

また、WMSは様々なシステムと連携させることで、入荷から出荷に至る上流から下流までの工程を、デジタルデータの活用で一気通貫に管理、運用ができます。 

倉庫の業務を効率化することで、トラックの荷待ち時間や荷役の負荷を軽減できるのでは 

ないでしょうか。 

  

 

 

 

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