急速な需要拡大と慢性的な人員不足に悩む物流業界にとって、業務の効率化は喫緊の課題です。そんな中、近年注目を集めている概念に、物流管理指標(物流KPI)があります。倉庫内業務における物流KPIについて詳しく解説します。
3. 倉庫内業務に物流管理指標(物流KPI)を導入するメリット
次に、倉庫内業務で物流管理指標(物流KPI)を導入するメリットについて具体的に見ていきましょう。物流管理指標(物流KPI)には、問題点を可視化できる「見える化ツール」、コミュニケーションが促進される「コミュニケーションツール」、合理的で公平な評価につながる「評価ツール」としての役割が期待できます。
3-1 問題点を可視化できる
物流の現状をデータで把握することができるようになり、業務プロセスの問題点を可視化できます。物流管理指標(物流KPI)によって客観的に計測したデータを分析することで問題点が明らかとなり、対策を講じることが容易になります。
3-2 コミュニケーションが促進される
物流に携わる様々な立場の人たちに対して、客観的なデータに基づいた意思決定を行うことにより、納得感の高い仕事をしてもらうことができます。メンバー間で共通認識ができ、コミュニケーションが取りやすくなることも大きなメリットです。
3-3 合理的で公平な評価につながる
感情や感覚ではなく、定量的に測定した客観的データを管理することで、合理的で公平な評価ができるようになります。努力し改善した結果を正当に評価されることで仕事に対する意欲を向上させ、問題解決のための努力を促すことにつながります。
また、表面上のコストや効率性だけでなく、安全性の確保や品質の保持など全てを総合的に把握することで業務の質を上げ、企業価値をより高めることも可能になります。
4.倉庫内業務における物流管理指標(物流KPI)導入への課題
メリットの一方で、倉庫内業務における物流管理指標(物流KPI)の導入にはいくつかの課題もあります。
4-1 人の動きなどアナログの要素が多くデータ化されていない
物流業務においては、人手による部分がまだ多くを占めています。とくに走行データなど具体的な数値から指標化されることが多い輸配送の領域に比べ、倉庫内の業務では人の動きなどアナログの要素が強く、データ化されていない部分が多くあります。そのため、定量的な指標の設定が難しいという問題があります。
4-2 現場側と経営側で共通の指標を設定する事が難しい
物流管理指標(物流KPI)の導入においては、データの取得や業務改善の実施などで全社的な協力体制を構築することが不可欠です。その一方で現場は多忙であり、なおかつ外部から業務実態を可視化されることに抵抗を感じる傾向もあります。
物流管理指標(物流KPI)の導入にあたっては、経営側からトップダウンのかたちで現場に協力を求めるのが近道となります。その際には、KPIの活用が企業の経営方針と整合していることを前提に、現場に過度な負荷をかけず、効果が実感できない指標を設定しないなどの配慮をすることが求められます。
4-3 管理する人のリソースが不足
データ収集・分析等の業務負荷が大きいことを理由に、物流管理指標(物流KPI)を導入していないというケースも見られます。管理業務を担う人材がいないためにKPIを導入できずにいる、という企業も多く存在するようです。
対策としては、KPI管理者の人材育成を図ると同時に、導入時には必要最小限のKPIとする、既存のデータやシステムを活用する、専門業者などの外部リソースを利用するなど、なるべく負荷をかけない方法を検討する必要があります。
5.倉庫内業務における物流管理指標(物流KPI)の導入に寄与する自動化
ここまで見てきたように、物流業界における業務の効率化に向けて物流管理指標(物流KPI)を導入することは極めて有効です。人材不足や業務の偏り、無駄なコストなどの問題に対して、なぜそうなったのか原因を分析するためには必要不可欠な手法となります。ただし倉庫内業務の、人の手を介することが多いアナログの領域では、そもそものデータ化に課題がある場合も多いのが現状です。自動化の目的に省人化や効率化があるのは当然ですが、それ以上に「見える化」の効果がある事を忘れてはなりません。
プラスオートメーションでは、物流効率化における様々な課題を解決する物流ロボットを用いた自動化のソリューションを開発しています。物流管理指標(物流KPI)導入の第一歩となる倉庫内業務のデータ化・見える化のための自動化設備導入へ向け、並走させて頂ければ幸いです。
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