【効率化】倉庫レイアウトを設計する5つのポイント!狭い場所の活用法や手順を徹底解説
出荷作業を効率化したり、商品の保管量を増やしたりするために、倉庫のレイアウト変更は効果的な手段です。 ところが「レイアウトを変更したいけど、どのように設計すれば良いかわからない」「倉庫自体が狭いので、大型設備が設置できずに困っている」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
自社の取扱商品にとって最適なレイアウトを実現するためにも、効果的な改善方法を把握しておきたいですよね。
そこでこの記事では、倉庫のレイアウトを設計するときに意識するポイントや、具体的な手順を解説します。
従業員が効率よく入出荷を進められる倉庫を作り、企業の売上や信頼性をより高めていくためにも、ぜひ最後までお読みください。
目次: 1. 倉庫のレイアウト設計が大切な3つの理由
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1. 倉庫のレイアウト設計が大切な3つの理由
こちらでは、倉庫のレイアウト設計が大切な理由を3つ紹介します。
- 作業を効率化できる
- コストを削減できる
- 一度決定すると変更が難しい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)作業を効率化できる
従業員の作業効率を高め、1日の入出荷量を増やすためには、倉庫レイアウトの設計が重要です。
レイアウトを最適化することで、無駄な移動や商品を運ぶ手間が減少します。不要な作業の削減は、出荷ミスなどのヒューマンエラーを減らすことにも効果的です。
南山大学の研究では、倉庫レイアウトの変更によって、従業員の総移動距離が約10%変わるという事例がありました。
作業効率を最大限に高めるためには、倉庫レイアウトの設計は非常に重要な手段だといえます。
(2)コストを削減できる
効率的なレイアウトが設計されていると、人件費を削減できます。無駄な行程が減ることで1人当たりの出荷効率が高まり、少ない人数でも同じ作業を進められるからです。
また倉庫をレンタルしているなら、余分に使っていた場所を整理することで、スペースの費用を削減できます。
倉庫のレイアウトを見直すと、同じ作業量でもより少ないコストで運用が可能です。
(3)一度決定すると変更が難しい
レイアウトの変更は手間がかかり一時的に作業もストップするので、頻繁に行えません。よって変更前に、きっちり設計しておくことが求められます。
ラックの位置や商品の置き場所を深く検討せずにレイアウトを設計してしまうと、非効率な作業環境になってしまう可能性があるでしょう。
「一度決定すると変更には非常に手間がかかる」ということを踏まえて、将来の在庫予測(新規アイテムの追加)なども盛り込んだうえで、レイアウトを決めることが大切です。
また、自動化を意識する事も重要です。倉庫の中で使える自動化設備、特に物流向けロボットは日進月歩でどんどん進化しています。将来的に使えるロボットが出てくる可能性は高く、人の事だけではなく、ロボットにとっても動きやすいレイアウトを検討していく必要があります。
2.倉庫のレイアウトを設計するときに意識する5つのポイント
こちらでは、レイアウトを設計するときに意識するべきポイントを5つ紹介します。
- 入荷から出荷までの流れを正確に把握する
- 作業と保管の効率のバランスを考える
- レイアウトは一筆書きを意識する
- 倉庫の種類によってレイアウトを変える
- 空きスペースを確保する
1つずつ確認していきましょう。
(1)入荷から出荷までの流れを正確に把握する
作業員が無駄な業務をしていないかを確認するために、まずは入荷から出荷までの流れを把握しましょう。一般的な作業の流れは以下の通りです。
- 入荷
- 入荷検品
- 棚入れ
- 保管
- ピッキング
- 出荷検品
- 出荷
これらの作業の中に余計な移動や、商品を探す手間が発生している可能性があります。非効率な作業を極力減らすレイアウトを作るためにも、1日の業務フローを確認することが重要です。
(2)作業効率と保管効率のバランスを考える
倉庫のレイアウトを考えるときに、保管容量のみを増やそうと意識してしまうことがあります。ところが商品の収納だけを考えてしまうと、かえって作業の効率が低下する原因になるので、注意が必要です。
- 商品を高く積む
- 一部の保管スペースに詰め込む
などを無理に行ってしまうと、商品を探すときに手間がかかります。従業員に話を聞くなどして、商品の入出荷がスムーズに進められる保管方法を検討してみてください。
(3)レイアウトは一筆書きを意識する
商品の入荷から出荷までの流れをスムーズにするためには、一筆書きに近い動線を作ることが重要です。種類は2つあり、I字型とU字型があります。
I字型は、入荷から出荷までを一直線で並べていくレイアウトです。具体的には倉庫の片側の出入り口付近に入荷した商品、反対側の出入り口に近い場所には出荷する商品を配置します。
このように配置することで、同一倉庫内で入荷商品と出荷商品を混同すること無く、作業を進めることが可能です。またI字型は商品を直線に並べるためデッドスペースが少なく、狭い倉庫でもしっかりと在庫数を確保できます。
U字型は同じ出入り口を2つに分け、片方に入荷商品を置き、奥の保管スペースでUターンをしてもう片方の出荷場所へ戻ってくるレイアウトです。I字型に比べて倉庫が小さいと作業スペースが狭くなりますが、入出荷の場所が近いので、従業員同士の連携がスムーズに行なえます。
倉庫の構造によっては一筆書きが難しい場合ありますが、なるべくスムーズな動線を意識して、レイアウトを決めていきましょう。
(4)倉庫の種類によってレイアウトを変える
倉庫にはいくつかの種類があり、在庫の有無や取り扱う商品が大きく異なります。よって倉庫の種類を考慮したうえで、適切なレイアウトを設計することが大切です。
例えば在庫を持つ倉庫は、保管している商品をピッキングして出荷する作業が発生します。よって商品の品質を保つ保管方法や、効率よくピッキングすることを考えなくてはなりません。
一方で在庫を持たない倉庫は、販売業者から渡された商品を積み替える作業が多く発生します。そのため広い作業場所を確保したり、トラックとの連携の取りやすさを考慮したりして、レイアウトを決めていきましょう。
また扱う商品によってはダンボールのまま置いたり、1つ1つ出したりと、保管の方法も変わります。
倉庫レイアウトは一般的には「一筆書きを意識すると良い」とされていますが、必ずしも自社の倉庫に当てはまるとは限りません。そのため再度在庫商品や倉庫業務への理解を深め、適切な設計ができるようにしましょう。
(5)空きスペースを確保する
一時的に商品を保管できるスペースを確保しておくことも、レイアウト設計では重要です。
スペースがないと、新しいアイテムを保管したいときや、繁忙期などで在庫を増やしたい時に、柔軟な対応ができません。急に届いた商品を無理に詰め込むと、探す手間が増えて非効率になってしまう可能性があります。
在庫アイテムの種類や量は必ずしも一定ではないので、将来のことを考えて、一定の空きスペースを確保しておきましょう。
3.倉庫レイアウトの改善方法を5ステップで解説
倉庫のレイアウトを変更するときに大切なポイントを抑えたところで、具体的なステップを見ていきましょう。
こちらでは、レイアウトに失敗しないための改善方法を5ステップで解説していきます。
- 現状の問題点を把握する
- 倉庫の最終目的を明確にする
- 倉庫全体のレイアウトを決める
- 商品の保管場所を決める
- 収納アイテムを用意する
(1)現状の問題点を把握する
まずは、現状の課題を正確に発見し、状況を把握しましょう。現状の問題点がわかっていないと、効率の良いレイアウト設計ができません。
- 1日の業務の流れ
- 動線
- 商品の保管容量
- 通路の幅
- 作業員の動き
など実際に目で確認したり、従業員にヒアリングしたりして、気になる問題点を見つけ出すことが重要です。
(2)倉庫の最終目的を明確にする
問題点を見つけたら、最終的な倉庫の目的を明確にします。目的をハッキリさせることで、倉庫レイアウトを詳細にイメージしやすくなるでしょう。
- 商品の保管容量を増やしたい
- 人のミスを減らしたい
- 自動化してコストを削減したい
などのように目的を考えると、自社に適したレイアウトを見つけやすくなります。
(3)倉庫全体のレイアウトを決める
問題点と目的を整理できたら、実際に倉庫全体のレイアウトを決めていきます。
【例】
課題 |
入荷と出荷の作業が同じ場所で行われていて、従業員が一部に密集している |
最終目的 |
従業員がスムーズに入出荷をできるようにする |
レイアウト |
一筆書き(I字型)にして、入荷と出荷場所を別にする |
上記のように課題と目的をしっかりと定めて、効率の良いレイアウトを考えましょう。
(4)商品の保管場所を決める
保管するときに大切なのは、商品を出荷頻度で分類することです。取り出す頻度が多い商品を手前、そうでない商品は奥に配置します。
分類に効果的な手法が「ABC分析」です。ABC分析とは、商品の特徴ごとに3種類に分けて管理する方法です。
A……流動性と出荷頻度が高いため、作業効率を優先。
B……流動性と出荷頻度が平均的なため、作業と保管の効率をバランス良く。
C……流動性と出荷頻度が低いため、保管効率を優先。
A→B→Cの順番に商品を取りやすい場所へ配置します。特にAに分類される商品は、倉庫の出入口から行きやすい場所や、手前のほうへ配置しましょう。
(5)収納アイテムを用意する
保管場所を決定したら、収納アイテムを用意します。収納方法によっても作業効率は大きく変わるため、しっかり検討しましょう。例えばラックの場合、以下のような商品が存在します。
軽量・中量ラック |
商品をダンボールなどに入れて保管するラック。商品の大きさに合わせて棚の大きさを調整できる。 |
パレットラック |
商品をパレットのまま保管するための棚。重量物を保管できるが、導入時に施工工事が必要 |
ネスティングラック |
パレットを保管できる棚。パレットを積んだままコンテナとして持ち運ぶことが可能。積み重ねが可能なので、レイアウト変更が行いやすい |
デッドスペースを無くし、さらに従業員の作業効率を高められるように、取扱商品に応じてアイテムを決定していくことが大切です。
4.まとめ
倉庫のレイアウトは一度決定してしまうと、なかなか変更することができません。そのため現状の課題だけでなく、最終的な目標や将来の在庫アイテム数などを踏まえたうえで、長く効率化が図れる倉庫を作っていきましょう。
作業効率化を重視するのであれば、レイアウト設計に加えて物流ロボットの導入を進めることも効果的です。ピッキングや仕分けなど一部の作業を自動化することで入出荷のミスを減らし、より効率よく作業を進められますし、ロボットが作業するのに必要な通路幅を確保するなど、レイアウト変更のタイミングがロボット導入のタイミングとしても最適です。
倉庫にロボットを導入したい場合は、ロボットレンタルサービスのプラスオートメーションへご相談ください。貴社の倉庫レイアウトに合わせて、最適なロボットをご提案いたします。
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