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【必見】5Sとは?導入するための5ステップと失敗しがちなポイントを徹底解説

作成者: +A 編集部|24/06/22 15:25

1.  5Sは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の総称

5Sはこの5つの頭文字をとったものです。こちらでは5Sの各項目を紹介します。

  1. 整理
  2. 整頓
  3. 清掃
  4. 清潔
  5. しつけ

それぞれを実施するメリットも紹介するので、ぜひ確認してみてください。

1-1整理

「整理」は必要なものと不要なものを区別し、不要なものを捨てることです。ここで区別するものは道具などの物理的なものだけではなく、データなども含まれます。

整理を徹底すると、必要なものを見つけやすくなるので、物を探す時間が短縮できます。ピッキング作業の効率化や、倉庫スペースの有効活用が見込めるでしょう。

整理された状態を維持するためには、不用意に物品を購入しない、不要になったものはすぐに処分する、といったことが大切です

1-2 整頓

「整頓」は職場内の物品を所定の位置に保管することです。保管場所を決める際には、業務の流れに合わせて、従業員が使いやすい位置に配置するようにしましょう。

例えば、使う順番通りに並べたり、使う頻度の高いものを手前に配置したりすると便利です。

整頓を徹底すると、必要なものを探す時間を短縮できます。さらに雑然と並べている状態が改善し、商品が落下するなどの自体を防げるので、安全性も向上します。

必要なものを探すことに時間を費やすと、業務の停滞を招き、生産性が下がりかねません。そのため、整理・整頓を徹底することは大幅な効率化に繋がります。

1-3 清掃

「清掃」は職場の掃除を徹底することです。また、倉庫内の清掃だけでなく、業務で使用する道具や機械の点検・清掃も含まれます。

効果的に行うためにはただ掃除をするのではなく、どの状態を基準とするのかを決める必要があります。清掃担当や行う時間、場所をチェックシートなどで管理し、ルーティン化することも大切です。

労働環境が改善するほか、設備の不具合の予防・早期発見ができます。商品に汚れがついてしまうといった事態も防げるので、品質維持にも効果的です。

1-4 清潔

「清潔」は汚れのない状態を保つことです。整理、整頓、清掃を行った結果として保てる状態と言えます。

そのため、清潔を徹底するためには整理・整頓・清掃が効果的に行えているか、改めて見直すことが効果的です。

清潔度の基準を決めることで、汚れや異常が目立つようになるので、他の5Sの維持・推進が容易となります。

1-5 しつけ

「しつけ」は5Sを徹底するように従業員に習慣づけることです。ルールや作業手順の遵守のほか、効果的に行うことができる仕組みや環境づくりも含まれます。

意識せずとも自然に5Sが実行できるように従業員を教育し、かつ、自然と「そうしたくなる」環境、意識改革を実行した上で、業務の中に落とし込むようにしましょう。

5Sは継続しないと効果が得られにくいので、しつけの徹底は効果を得るためには必須です。

 

2. 5S実施によって得られるメリット3つ


こちらでは5S実施によって得られるメリット3つを紹介します。

  1. 業務効率改善
  2. 労働環境改善
  3. コスト削減

2-1 業務効率改善

整理・整頓を徹底すると、必要な備品や情報を探すというバリューの無い時間が短縮できるので、業務がスムーズに開始できるようになります。5Sが行き届いた建物内とは、何かを探すために業務を中断するという事が起きえないと言えます。

雑然とした状況が改善すると、業務に集中できるので生産性が向上します。

さらに、施設内での作業員の移動距離を最短にできるので、出荷などの業務をスピーディに行えるでしょう。

2-2労働環境改善

5Sを徹底すると床に転がっているものにつまずく、商品が落下するなどの事故などを防げるため、安全性が大幅に向上します。清潔な労働環境を保つと快適に働けるほか、業務効率が上がるので、残業時間の減少を見込めるでしょう。

職場に無駄な物がなくなるので、避難経路の確保と周知をし易くなります。

また、火事や地震といった災害発生時の被害拡大を抑止できる効果もあります。

2-3 コスト削減

現場内での商品の破損や汚れなど、品質の低下を防げるので、返品・破棄数を低減できるでしょう。整頓されているのでピッキングミスも抑止でき、送り間違いが起きた後の対応にかかる人的コストも減少できます。

在庫数や品質の管理は、顧客からの信用維持には不可欠です。5Sの徹底は、コスト削減と同時に利益増大も期待できます。

 

 

 

3. 5Sを導入するための5つのステップ

こちらでは、5Sを導入するための5ステップを紹介します。

  1. 現状と5S実施の目的を明確にする
  2. 企業内で認識を共有する
  3. 5Sの要素を自社に合わせて具体化する
  4. 5S徹底のためのルールを作り、効果測定の方法を明確にする。
  5. 定期的に効果を測定し、見直す

3-1 現状と5S実施の目的を明確にする

まずは自社が今抱えていて改善したい問題点は何か、そのためにはなぜ5Sが有効なのかという分析を行いましょう。

5Sを行う目的やメリットを認識すると、より適切に実施することができ「なんとなく

掃除する」といった事態を防止できます。

  • 月間返品数を〇つ減らす
  • 残業時間を〇時間までにする
  • 年間事故件数0
  • ヒヤリハット〇件以下

など、具体的な数値で目標を設定することも効果的です。

3-2企業内で認識を共有する

問題点、目的を分析した後は、それを従業員全員に共有しましょう。5Sは企業全体で取り組まなければ徹底できず、効果が得にくいです。

全員が5Sに関して共通の認識を持つことで、当事者意識も育つので「しつけ」が徹底しやすくなります。しつけをする際は、明確にメリットを伝えましょう。

3-3 5Sの要素を自社に合わせて具体化する

それぞれの項目を、自社の問題点を解決するために適した形に具体化しましょう。

「整理が必要・不要の基準はなにか」「整頓における所定の位置はどうするか」などです。

その際には、業務の進行を妨げることにならないかよく確認することが大切です。現在の業務プロセスやフローを可視化して定めると、効率よく導入を進められます。

従業員から意見を募り、不満をそのままにしないことも大切です。不満を抱えている従業員は積極的に5Sを実施してくれない可能性があるので注意しましょう。

3-4 5S徹底のためのルールを作り、効果測定の方法を明確にする


具体化した要素を日々の業務の中に落とし込んでいきましょう。清掃時間を設けたり、当番制を作ったりします。また、しつけを行うためのマニュアルの見直しなども重要です。

その際、整理→整頓→清掃→清潔→しつけの順に確認すると、矛盾が生まれにくくなります。

また、ルールは目に見えるようにしなければ守られません。看板を作成する、定位置には枠をラインテープで引く等を実施しましょう。現場の従業員がルールの確認の為に都度マニュアルを見直すようでは、5Sが根付く事はないでしょう。チェックシートの導入なども効果的です。

最終的には業務を行う中で自然に5Sが実施できることが理想なので、従業員への負担を著しく増加させないようにしましょう。

3-5 定期的に効果を測定し、見直す

導入後は、定期的に5S導入の効果が表れているか効果測定しましょう。

「最初に定めた問題点が改善されているか」「ルールは徹底されているのか」などを目標の達成度とともに確認します。

5Sは、実施後すぐに大きな効果を発揮することはありません。

ところが、ある程度実施から時間が経っても「効果がほとんど見られない」「かえって業務効率が下がっている」という場合は、ルールの見直しや従業員への働きかけが必要です。

また、企業の状況、目標や問題点は変化します。その変化に対応して5Sのルールや基準も都度見直すことが大切です。

 



4.  5Sを実施する際にしがちな失敗ポイント3つ

こちらでは5Sを実施する際にしがちな失敗ポイント3つを紹介します。

  1. 5Sの実施そのものが目的となってしまう
  2. 5Sを継続しないでやめてしまう
  3. 5Sの実施が中途半端になってしまう

それぞれ確認していきましょう。

4-1 5Sの実施そのものが目的となってしまう

「よく聞く言葉だから」「なんかよさそう」というような曖昧な状態で導入すると、5Sそのものが目的になってしまい、業務効率改善やコスト削減につながりません。

導入を失敗しないためにも、自社の問題点を明確化してから実施し、経過観察と見直しを行いましょう。

5Sを通じてどんなメリットを得たいのか、ということを認識することが大切です。

4-2 5Sを継続しないでやめてしまう

5Sは効果が得られるまでに時間がかかります。そのため導入後すぐに「効果が得られないから」と、やめてしまう企業も少なくありません。

まずは一定期間継続してみることが大切です。しばらく経っても効果が得られない場合は、どこかに徹底されていないポイントがないかどうか確認してみましょう。

最短でも四半期、基本は1年単位で実施する事が望ましいです。

4-3 5Sの実施が中途半端になってしまう

「なんとなく整理整頓する」「なんとなく綺麗にする」など、明確な基準がない状態で実施していると、5S導入がうまくいきません。

従業員全員が同じ基準で5Sを行うことができず、効果が薄くなってしまいます。さらに「自分はしっかり取り組んでいるのに、他の社員は適当にやっている」という不満が出るかもしれません。

5Sの導入時には自社の問題点を明確にしたうえで、実施基準を明確に定めることが大切です。定めた実施基準は、「そうすべき正しい状態」を見えるようにする事で効果を発揮します。

 

5. まとめ

5Sは徹底することで労働環境改善・業務効率向上などが期待できる重要な活動ですが、基準をどのように設定するかは、それぞれの企業の特質や改善したい点によって様々です。

現在自社が抱えている問題点は何なのか、どのような基準・実施方法が自社に適しているのか、ということをよく考えて、5Sの導入を検討しましょう。

なお、自社に最適な方法を考えるには、倉庫内のオペレーションに精通した専門家の意見を聞くことが効果的です。

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