5Sは、職場環境の維持改善に用いられるスローガンです。「導入したいけど、何から始めればいいのかわからない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? 本記事では、5Sの各項目や導入時にやるべきこと、失敗しがちなポイントを紹介します。5Sを実施して職場環境を改善したい、コストをかけずに利益を増やしたいと考えている方は、ぜひご覧ください。
3. 5Sを導入するための5つのステップ
こちらでは、5Sを導入するための5ステップを紹介します。
- 現状と5S実施の目的を明確にする
- 企業内で認識を共有する
- 5Sの要素を自社に合わせて具体化する
- 5S徹底のためのルールを作り、効果測定の方法を明確にする。
- 定期的に効果を測定し、見直す
3-1 現状と5S実施の目的を明確にする
まずは自社が今抱えていて改善したい問題点は何か、そのためにはなぜ5Sが有効なのかという分析を行いましょう。
5Sを行う目的やメリットを認識すると、より適切に実施することができ「なんとなく
掃除する」といった事態を防止できます。
- 月間返品数を〇つ減らす
- 残業時間を〇時間までにする
- 年間事故件数0
- ヒヤリハット〇件以下
など、具体的な数値で目標を設定することも効果的です。
3-2企業内で認識を共有する
問題点、目的を分析した後は、それを従業員全員に共有しましょう。5Sは企業全体で取り組まなければ徹底できず、効果が得にくいです。
全員が5Sに関して共通の認識を持つことで、当事者意識も育つので「しつけ」が徹底しやすくなります。しつけをする際は、明確にメリットを伝えましょう。
3-3 5Sの要素を自社に合わせて具体化する
それぞれの項目を、自社の問題点を解決するために適した形に具体化しましょう。
「整理が必要・不要の基準はなにか」「整頓における所定の位置はどうするか」などです。
その際には、業務の進行を妨げることにならないかよく確認することが大切です。現在の業務プロセスやフローを可視化して定めると、効率よく導入を進められます。
従業員から意見を募り、不満をそのままにしないことも大切です。不満を抱えている従業員は積極的に5Sを実施してくれない可能性があるので注意しましょう。
3-4 5S徹底のためのルールを作り、効果測定の方法を明確にする
具体化した要素を日々の業務の中に落とし込んでいきましょう。清掃時間を設けたり、当番制を作ったりします。また、しつけを行うためのマニュアルの見直しなども重要です。
その際、整理→整頓→清掃→清潔→しつけの順に確認すると、矛盾が生まれにくくなります。
また、ルールは目に見えるようにしなければ守られません。看板を作成する、定位置には枠をラインテープで引く等を実施しましょう。現場の従業員がルールの確認の為に都度マニュアルを見直すようでは、5Sが根付く事はないでしょう。チェックシートの導入なども効果的です。
最終的には業務を行う中で自然に5Sが実施できることが理想なので、従業員への負担を著しく増加させないようにしましょう。
3-5 定期的に効果を測定し、見直す
導入後は、定期的に5S導入の効果が表れているか効果測定しましょう。
「最初に定めた問題点が改善されているか」「ルールは徹底されているのか」などを目標の達成度とともに確認します。
5Sは、実施後すぐに大きな効果を発揮することはありません。
ところが、ある程度実施から時間が経っても「効果がほとんど見られない」「かえって業務効率が下がっている」という場合は、ルールの見直しや従業員への働きかけが必要です。
また、企業の状況、目標や問題点は変化します。その変化に対応して5Sのルールや基準も都度見直すことが大切です。
4. 5Sを実施する際にしがちな失敗ポイント3つ
こちらでは5Sを実施する際にしがちな失敗ポイント3つを紹介します。
- 5Sの実施そのものが目的となってしまう
- 5Sを継続しないでやめてしまう
- 5Sの実施が中途半端になってしまう
それぞれ確認していきましょう。
4-1 5Sの実施そのものが目的となってしまう
「よく聞く言葉だから」「なんかよさそう」というような曖昧な状態で導入すると、5Sそのものが目的になってしまい、業務効率改善やコスト削減につながりません。
導入を失敗しないためにも、自社の問題点を明確化してから実施し、経過観察と見直しを行いましょう。
5Sを通じてどんなメリットを得たいのか、ということを認識することが大切です。
4-2 5Sを継続しないでやめてしまう
5Sは効果が得られるまでに時間がかかります。そのため導入後すぐに「効果が得られないから」と、やめてしまう企業も少なくありません。
まずは一定期間継続してみることが大切です。しばらく経っても効果が得られない場合は、どこかに徹底されていないポイントがないかどうか確認してみましょう。
最短でも四半期、基本は1年単位で実施する事が望ましいです。
4-3 5Sの実施が中途半端になってしまう
「なんとなく整理整頓する」「なんとなく綺麗にする」など、明確な基準がない状態で実施していると、5S導入がうまくいきません。
従業員全員が同じ基準で5Sを行うことができず、効果が薄くなってしまいます。さらに「自分はしっかり取り組んでいるのに、他の社員は適当にやっている」という不満が出るかもしれません。
5Sの導入時には自社の問題点を明確にしたうえで、実施基準を明確に定めることが大切です。定めた実施基準は、「そうすべき正しい状態」を見えるようにする事で効果を発揮します。
5. まとめ
5Sは徹底することで労働環境改善・業務効率向上などが期待できる重要な活動ですが、基準をどのように設定するかは、それぞれの企業の特質や改善したい点によって様々です。
現在自社が抱えている問題点は何なのか、どのような基準・実施方法が自社に適しているのか、ということをよく考えて、5Sの導入を検討しましょう。
なお、自社に最適な方法を考えるには、倉庫内のオペレーションに精通した専門家の意見を聞くことが効果的です。
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