そこでこの記事では、物流倉庫と物流センターの違を解説するとともに、それぞれが持つ機能について紹介します。言葉の意味について理解しておきたい方や、業務効率化や売上増加を見込んで物流環境を委託しようと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次: 1. 物流倉庫とは?物流センターとの違いについて解説
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物流倉庫と物流センターには、それぞれの言葉が示す異なる目的があります。まずはその違いについて確認していきましょう。
物流倉庫は、商品が入荷してから出荷するまでの間、管理・保管をしておく場所です。顧客に商品を届けるまでの間、品質を保った状態で保管することが求められます。商品によっては温度を厳重に管理したり、無菌状態を維持したりと、適切な管理が必要です。
物流センターも物流倉庫と同様の機能を備えていますが、それだけではありません。商品が顧客に届くまでの総合的な流れを支える機能を備えているのが物流センターです。
つまり、物流センターは「顧客サービス」にウェイトをおいています。例えば顧客に効率よく商品を届けるためのシステムが整備されていたり、商品をさらに加工するための設備が用意されていたりする点が、保管が主な目的の物流倉庫との大きな違いです。
ただし近年ではさまざまな機能を備えた倉庫が増え、例え「倉庫」という名称でも保管するだけの目的ではなくなってきています。そのため、物流倉庫と物流センターが同じようなニュアンスで使われることが多くなっているのが現状です。
こちらでは、主な物流センターを4種類紹介します。
それぞれがもつ機能について解説します。
DCは「Distribution Center」の略で、在庫型センターとも呼ばれています。商品を保管し、オーダーに沿って出荷するという、従来の物流倉庫に近い役割をもつセンターです。出荷業務をスムーズに行うために、商品へのラベル貼りや送り状作成などの簡単な流通加工設備が整っています。
TCは「Transfer Center」の略で、通過型センターとも呼ばれています。DCのように在庫を保管する役割がなく、中継地点として商品の仕分けや積み替えを行うためのセンターです。
このような作業は「クロスドッキング」とも呼ばれています。例えば全国チェーンの店舗に届ける商品であれば、TCで集約することでコストを抑え、効率的な配送が可能です。
(3)PDC(プロセスディストリビューションセンター)
PDCは「Process Distribution Center」の略で、流通加工・在庫型センターとも呼ばれています。在庫型センターのDCの機能に加え、流通加工の機能も備えたセンターです。
DCでもラベル貼りやタグ付けなどの簡単な流通加工に対応していますが、PDCでは食品の加工や製品の組み立てなど、専門的な流通加工を行えます。そのためPDCには、高度な技術や専門的な設備が必要です。
(4)FC(フルフィルメントセンター)
FCは「Fulfillment Center」の略で、EC事業において受注から発送、返品やクレーム対応までの業務全般を担うセンターです。
アパレルECにおいてはささげ作業(撮影・採寸・原稿)まで請け負うセンターもあり、トレンドに乗り遅れずに新商品を提供できます。複雑なラッピングや熨斗など、EC事業のニーズに合わせた対応ができるのも特徴です。
こちらでは、物流6大機能とも呼ばれる物流倉庫とセンターの機能を紹介します。
物流センターの種類が異なるように、必ずしもこれらの機能を有しているわけではありません。それぞれ確認していきましょう。
輸送は、トラック・鉄道・船舶・航空機などの手段によって、商品移動させることです。細分化すると、距離によって言い方が異なります。
物流コストや納期への対応をいかに最適化できるかが重要です。
保管は、物流倉庫・センター内に商品を預かり、留めておくことです。食品や壊れやすいものなど、取り扱う商品によって適切な保管方法が異なります。
中には冷蔵庫での温度管理や鍵付きの保管庫などを使用しなければならないものなどもあり、商品に合わせたさまざまな管理能力が求められます。
荷役は、入庫から出庫までの一連の流れの総称です。主な作業には、積み降ろし・運搬・入庫・出庫・仕分け・保管・ピッキングなどがあります。
必要な商品をすぐに取り出せるように整理したり、作業効率を考慮した導線に並び替えたりする役割も荷役の重要な役割です。荷役は幅広い作業に携わり、物流業界で大きなウェイトを占めています。
包装は、商品の状態を保護するための機能です。適切な容器などに入れることで、商品を汚れや破損から守ります。以下の3種類に分けられるのが特徴です。
流通は、顧客に届ける前の商品に手を加えて付加価値をつけることを目的とした機能です。取り扱う商品によって行う作業はさまざまであり、具体的に以下のような作業が発生します。
情報は倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)などのシステムにより、物流に関わる一連の作業を管理し、効率化する役割をもつ機能です。
以前はこの「情報」以外の機能のことを物流5大機能と呼んでいましたが、時代の変化とともに6番目の機能として考えられるようになりました。システムによる管理で物流5大機能を適切に機能させるためにも、情報が重要な役割を担っているとも言えるのです。
こちらでは、物流倉庫やセンターを委託(アウトソーシング)する主なメリットを3つ紹介します。
自社倉庫を用意するとなると、用意するまでの費用や、運用するための人件費がかかります。繁忙期と閑散期の差が大きい場合、波動に合わせた人員調整を行うことが難しくもあるのです。
物流業務を倉庫やセンターに委託することで、閑散期に人件費がかさむことはありません。
また、自社倉庫の場合、老朽化が進むと対策を講じるためのコストもかかります。委託することで、倉庫そのものや内部の設備にかかる費用も削減できるのです。
自社倉庫の場合、事業が拡大することで倉庫の保管容量が足りなくなる可能性があります。新しく倉庫を用意するとなると拠点が分散され、業務を効率よく進められないといった問題も出てきます。
倉庫の容量不足や移転のタイミングで物流倉庫への委託を考えるのも、効率的な業務を行ううえで有効な対策です。すべての商品ではなく、特定の商品のみを委託するのもいいでしょう。
物流倉庫に委託することで、出荷の波動に対応できるようになります。作業に携わる人数が足りていないと、十分な在庫があっても”出荷待ち”の状態になりかねません。
商品を必要とする人まで迅速に届けることは、顧客満足の向上に影響します。ミスの少ない安定した出荷が行えると、リピーターの獲得にもつながるでしょう。
こちらでは、物流倉庫やセンターを委託(アウトソーシング)する主なデメリットを3つ紹介します。
デメリットになる部分をしっかりと把握し、対策を整えるようにしましょう。
委託する倉庫によって業務の対応範囲が異なります。必ずしも、希望するすべての業務を行ってもらえるわけではありません。
例えば、返品商品の確認など、手間がかかる特定の業務は自社で行うといった分担が必要な場合もあります。可能な限り自社の希望に対応できる倉庫選びが重要ですが、コスト面を考えた判断を行いましょう。
また、取り扱う商品の種類も倉庫によって異なります。できれば自社商品と同じような商品の取り扱い実績が多いほうが、安心して任せられるでしょう。
物流業務を委託すると、自社でノウハウを蓄積することが難しくなります。将来的に自社で物流業務を行うことを目的としている場合、ノウハウのない状態からのスタートはとても大変です。
また、消費者から商品に関する問い合わせがあった際に、作業の流れを理解していないとすぐに適切な回答ができない可能性もあります。作業に関わるノウハウを共有しておくことが大切です。
トラブルがあったときにすぐに対応できるように、委託先の担当者とのこまめなやり取りが重要です。信頼関係が築けていないと、自社の要望を伝えにくくなってしまいます。
担当者はさまざまな業務を担っている可能性もあるため、すべて的確に把握しておくことが難しい場合もあります。伝達ミスを防ぐためにも、定期的に情報共有することが大切です。
また、実際に保管されている状態や作業の流れを定期的に確認することも忘れてはいけません。委託先の倉庫に足を運び、自社商品の取り扱いが適切か、問題点はないかなどを自分の目でチェックする労力も必要です。
物流倉庫・物流センターに定義や機能性の違いはありますが、近年ではさまざまな機能をもつ倉庫が増えているため、はっきりとした線引きが難しくなっているのが現状です。
物流業務を委託したいと考えている方は、自社の目的を明確にし、デメリットになる部分も理解したうえで、安心して任せられる委託先を選びましょう。
なおプラスオートメーションでは「現場の課題を解決すること」を目的とし、倉庫自動化のコンサルティングも行っています。以下のご相談フォームよりお気軽にお問い合わせください。