そこで本記事では物流業界における課題と、AIを導入するメリット・デメリットを解説します。
実際にAIを導入した事例も紹介するので「AIがどのように物流の現場で活躍するのか知りたい」「AIを導入して業務を効率化したい」と考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
こちらでは物流業界における3つの課題と、AIを用いた解決法を紹介します。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
近年EC市場が拡大し、物流業務が増加しています。また、少子高齢化などを背景に人員不足が進み、1人当たりの作業量が増加しているので過酷な労働環境になっていると言えるでしょう。
さらに、EC市場の拡大により小口配送も増加しました。小口配送が増加すると配送ルートや在庫管理が複雑になるので、業務量が増加します。
そこで、AIを搭載した物流ロボットの導入が人員不足と業務量増加に対応できる策として期待されています。ロボットは作業員をサポートして重い荷物を運んだり、複雑になりがちなピッキングを効率よく行ってくれたりするので、作業員の負担を軽減可能です。
物流業界における人手不足の問題について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
物流業界では全体的に人手不足が問題になっており、特にドライバーの供給不足が深刻です。2019年の国土交通省の調査では、約7割の企業がドライバーを「やや不足」または「不足」と回答しています。
不足する原因は、少子高齢化の進行とドライバーの過酷な労働環境です。また「2024年問題」によって、さらにドライバー不足が進行すると考えられています。
「2024年問題」とは、働き方改革の一環である「時間外労働の上限規制」が2024年にドライバーに適用されるため、現状の業務を維持できなくなる可能性がある問題のことです。
そこで、AIを用いた配送ルートの最適化・積載率の向上が、ドライバーの労働時間を短縮できる策として期待されています。
(参考:国土交通省|物流をとりまく状況と物流標準化の重要性)
物流業界においては、他社との差別化のために「翌日配送可能」などのサービスが行われています。ところが、配送スピードの向上は物流業務を過酷にしている一因です。また、基本的に無料で行われている再配達は、ドライバーの負担を増やしています。
そこで、AIを用いて配送ルートを最適化すればより効率的に配達できるようになり、ドライバーの負担を軽減しながら配送スピードを向上できます。
また、交通状況などを考慮して到着予定時刻をAIが正確に予測できるようになると、再配達が削減できるのではないかと期待されています。
(参考:国土交通省|宅配便の再配達削減に向けて )
こちらでは、物流業務にAIを導入する3つのメリットを紹介します。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
AIを搭載したロボットや画像認識技術を導入すれば、今までは人間が行っていた業務を自動化・省力化できます。例えば、以下の業務でAIを活用可能です。
自動化・省力化が実現すると、少ない人員で作業できるので人手不足を解消できます。さらに、ヒューマンエラーが減少するので、業務効率の向上も見込めるでしょう。
物流の現場では、人間と機械、車両が同じ場所で作業することがあるため危険が伴います。また、監視を人の目で完全に行うのは困難です。そこで、AIの画像認識技術を用いると、人の転倒や不審者の侵入などを感知した際に警告してくれます。
さらに、長時間労働を強いられるドライバーの居眠り防止にもAIは効果的です。車内にAI搭載のカメラを設置すると、居眠りの兆候を感知したときにドライバーに呼びかけてくれます。
AIによって事故を未然に防げるので、業務中の事故リスク削減・安全性の向上が実現できます。
AIを使用すると、人間では考慮できない細かい点まで計算して、最適な配車計画や配送ルートの立案が可能です。積載率の向上や、最も効率的な配車台数設定が実現するので、コスト削減にも繋がります。
配送ルートを最適化するとより効率的なルートで配送でき、少ない台数の稼働で済むのでドライバーの負担を軽減できます。
こちらでは、物流にAIを導入する2つのデメリットを紹介します。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
AIの導入には、コストがかかります。具体的には、以下の費用が導入時に必要です。
導入方法や規模によって必要コストは変わるため、導入前の見積もりを入念に行いましょう。導入後に期待できる効果や、削減できるコストを計算してから導入することが重要です。
人間が行っていた作業をAIに任せる、もしくは新たにAIが行う業務を増やすことになるので、今までの業務フローを変更する必要があります。業務フローの変更は非常に手間のかかる作業ですが、怠るとAI導入の効果を最大限に得られない可能性があります。
「どの業務をAIに任せるのか」「どの作業手順を変更する必要があるのか」ということを導入前に確認し、作業員の間で認識を共有しましょう。
こちらでは、実際に物流現場にAIを導入した3つの事例を紹介します。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
ラピュタAMRは、AIを搭載したピッキングロボットです。AIが計算した最適ルートを通ってピッキングを行うので、効率よく業務を行えます。また、人と協働できるので、業務フローの変更も最小限に抑えられます。
佐川グローバルロジスティクスは、人手不足・労働の長時間化を解決するためにラピュタAMRを導入しました。その結果、時間当たりのピッキング処理数が上がり、生産性が約2倍になっています。
ピッキングの効率が上がると、人手不足の解消と労働時間短縮が期待できます。ラピュタAMRは狭い通路でも自律走行できるので、倉庫のレイアウトを変えずに導入できる点も魅力です。
ラピュタAMRに関して、こちらをご確認ください。
+Automation| 次世代協働型ピッキングロボット ラピュタAMR
Driveは重量約136㎏、積載可能重量は約567㎏の自律走行ロボットです。AIの画像認識技術・ルート計算機能を用いて、商品棚を従業員の元まで運びます。
Amazonは、業務量増加に伴って倉庫に熱がこもり、労働環境が悪化するなどの問題を解決するためにDriveを導入しました。ロボットが商品棚を作業員の元まで運んでくれるので、作業員は動く必要がありません。
商品棚から在庫を取り出したり、収納したりする作業は人間が行いますが、移動時間が削減したことで在庫管理の効率が向上しました。ルートに貼られたQRコードを認識することで正確に運搬可能で、障害物があっても回避できます。
Loogiaは、リアルタイムで最適な集配順序や配送ルートを計算してくれるシステムです。配送の進捗や再配達の依頼をリアルタイムで組み込み、配送ルートを計算してくれます。
佐川急便は、ドライバーの業務時間短縮や即戦力化のためにLoogiaを導入しました。今まではアナログで行っていた集配順序の決定をシステム化し、Loogiaが集配先の位置確認やルート決めを自動で行ってくれるようになりました。
その結果、ドライバーの業務時間を短縮でき、経験が浅いドライバーでも最適なルートで配送できるようになったそうです。ドライバーの即戦力化が実現したことで、ドライバー不足の解消が期待できます。
人手不足や労働環境の過酷さが深刻な問題となっている物流業界において、AIは様々な問題を解決する手段として期待されています。実際に、AIを導入する企業も増加していくでしょロボット導入の支援からシステムのインテグレーション、維持管理まで、すべてをワンストップでご提供。
AIを効果的に導入し、初期コスト以上の利益を得るためには、自社の問題点や倉庫の規模を考えて最適な方法で導入することが重要です。
なお、自社に最適な方法を考えるには、倉庫内のオペレーションに精通した専門家の意見を聞くことが効果的です。
プラスオートメーションでは「現場の課題を解決すること」を目的とし、ロボット導入の支援からシステムのインテグレーション、維持管理まですべてをワンストップで月額定額のサブスクリプションでご提供。
などと考えている方は、下記のご相談フォームよりお気軽にお問い合わせください。