そこで本記事では在庫管理の「見える化」の具体的な内容やメリット、ツールを解説します。在庫管理の見える化の進め方も解説するので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも「見える化」とは、意識しなくても目に入る状態にすることです。
可視化がただ「目に見えないものを見えるようにする」のに対して、「見える化」は、可視化された情報を、見るべき人が、見る事を意識せずともその事柄を見えるようにする事を指します。
在庫管理は主に、入庫や出庫に伴う在庫量の変化を管理する業務です。在庫の状況を、意識せずとも把握できるようにすることが「見える化」の意義だといえます。「見える化」はデータに意味を持たせて見えるようにする行為だといえ、在庫管理においては以下の2つにおいて行うのが効果的です。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
以下の項目を、在庫管理表を用いて「見える化」します。
見える化をする際は、在庫の動きが誰でもわかるような表を作成すると効果的です。見える化を行うと、業務を担当する全員が在庫管理の状況を把握できるので、ミスの早期発見や問題の可視化などが期待できます。
大規模な倉庫では表の運用が困難な場合もあるので、在庫管理システムを用いてデータを管理・見える化しましょう。
また、システムを用いたロケーション管理が行えるとリアルタイムで在庫の動きが把握できるのでより効率的に在庫管理が行えます。
業務の見える化では、以下のことを資料化します。
業務を見える化すると、間違った手順で作業したり、作業員の間で手順が異なるためにミスが起こったりするのを防げます。
さらに現場の作業や、管理業務におけるそれぞれの目的や注意点を見える化し共有すると、作業中の事故やミスを未然に防げるので、現場の安全性・業務の正確さが向上します。「特定の人しか業務を把握していない」状態になりやすい物流業界において、業務の見える化は効果的です。
こちらでは、在庫管理を見える化する5つのメリットを紹介します。他部署との連携がうまく取れない・特定の人しか業務を把握していない、などの現状の物流業界の課題を解決できます。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
見える化を行うと在庫の動きが簡単にわかるようになるので、過剰在庫・欠品を防げます。「どの商品が売れ筋なのか」「どの商品の売上が停滞しているのか」を正確に把握することで、荷主やバイヤーが発注業務を行う際に適切にコントロールできるからです。
過剰在庫は破棄の手間・コストの増大、欠品は機会損失・顧客からの信頼度の低下に繋がりかねません。企業利益の損失に直結するので、見える化を行って防ぐことが大切です。
在庫の場所がわかりやすく「見える化」されていると、ピッキング作業などの業務効率の向上が期待できます。また、在庫の数量を容易に把握できるので、棚卸の効率が上がるでしょう。
その結果返品や誤出荷が減少し、ミスの対応に追われなくなるので、在庫管理業務を効率よく行えます。
業務を見える化すると作業員全体で手順や目的を共有できるので、特定の人しか業務内容を把握していないという状況を改善できます。
また、業務を「見える化」すると、作業内容を標準化できるので新人教育に必要なコストを削減可能です。教育が比較的容易になるため「特定の作業員がいないと、業務が進められない」というような事態を防ぎやすくなるでしょう。
在庫を見える化すると適正在庫を維持できるようになるので、需要の高い商品に多くのスペースを割けます。また在庫の数量や配置が見える化されていると、作業効率が上がるように倉庫レイアウトに変更できます。
整理した後も、倉庫内の新たな配置を見える化すれば、在庫の位置が変わっても混乱せずに作業可能です。
「現場の人員と経営を担う他部署の人員の連携が取れていない」「お互いの現状を知らない」というのは物流業界の大きな課題ですが、見える化を行うと一部解決できます。
現場を知らない人間が見ても状況を把握できるように、在庫管理の現状を見える化して共有しましょう。以下のような内容を、可能な限り具体的に現状や問題点を共有すると効果的です。
現場の状況を最大限考慮して在庫管理計画を立てるためにも、見える化は非常に有効な方法です。
こちらでは、見える化の中でも「在庫の見える化」に焦点を当て、その効果的な方法である在庫管理表を作成するツールを3つ紹介します。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
在庫管理システムを用いると、人の手で行う作業が減るので在庫管理の効率が大きく上がります。ハンディターミナルなどと併用するのが、一般的です。
在庫管理システムのメリットは以下のとおりです。
一方で、以下のようなデメリットもあります。
導入前に、自社に必要な機能と費用対効果をよく検討しましょう。
Excelを用いて在庫管理表を作成する方法は一般的で、実際に行っている企業も多い手法です。メリットは以下のとおりです。
テンプレートを使えば、Excelに詳しくなくても導入できます。一方で、以下のようなデメリットもあります。
在庫の分析は人が行わなければならないので、商品数が多いと管理しきれなくなるかもしれません。そのため倉庫が小規模な企業や、コストをかけたくない企業におすすめです。
テンプレートをダウンロードし在庫の数量や保管場所を、作業ごとに手書きで入力する方法です。以下のようなメリットがあります。
初期費用がかからない点は、嬉しいポイントです。
一方で、デメリットは以下のとおりです。
在庫分析は人の手で行う必要があるので、正確性に欠けることがあります。また、紙の在庫管理表をリアルタイムで共有するのは難しいでしょう。さらに、紙が汚れたり破れたりすると、データが失われてしまいます。
こちらでは、在庫管理の「見える化」の進め方を解説します。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
在庫管理を見える化するためには、まず在庫の現状を把握することが重要です。ところが雑然とした現場だと、在庫の現状を正確に把握できません。
そのため、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を実施・継続して整った現場にすることは「見える化」を進めるのに、非常に有効です。
5Sは、物流業務のすべてを円滑に行うための前段階だと言えます。5Sが徹底された職場は、作業しやすく在庫の現状を把握しやすい点がメリットです。
5Sの方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。【必見】5Sとは?導入するための5ステップと失敗しがちなポイントを徹底解説
5Sの実施・継続によって現場が整ったら、倉庫のレイアウトを見直しましょう。レイアウトを最適化すると死角をなくせるので、見える化の完成度が上がります。
データが見えるようになっても、実物が誰にでもわかりやすく見えないのでは、実際の作業効率向上には繋がりづらいです。
また、視覚的に倉庫内の状況を把握しやすくなるので、次に行う「在庫の現状把握」が行いやすくなります。
見える化をするためには、まずは現在の在庫状況を把握しましょう。在庫の現状把握は、在庫管理表の作成のためだけでなく、解決したい問題点を発見するためにも非常に重要です。具体的には、以下の項目を把握します。
在庫の現状を把握することで、使用可能な倉庫のスペースも把握できます。
いよいよ、見える化を実行するステップです。「在庫の現状を把握する」ステップで判明した、在庫の数量・保管場所などを表にしましょう。記録を継続することで、在庫の動きがわかるようになります。
表を作る際のポイントは、以下のとおりです。
「見える化」を効果的に行うためには、在庫管理表の配置場所も重要です。作業員全員の目に、必ず入る場所に置きましょう。可能であれば、在庫管理システムを導入することがおすすめです。
在庫管理表が作成でき、見える化が完了したら現場以外の部署に共有しましょう。在庫管理表を他部署と共有することで、問題の早期発見・多角的なデータの分析ができます。
片方の視点からだけでは気づかないような問題や、解決法を発見できる可能性もあります。
また、経営を行う上でも現場の状況を把握することは非常に重要です。現場の状況を見える化し、共有することは企業利益増大に繋がります。
在庫管理を「見える化」すると、様々なメリットを得られます。企業利益や在庫の品質に密接に関わる在庫管理を適切に行うためにも、見える化を実行しましょう。
見える化を効果的に行うには、適切なステップを踏むことが必要です。また見える化を行うツールを選ぶ際は、自社の扱う製品の性質や、規模を考えて最適なものを選びましょう。
なお、自社に最適な方法を考えるには、倉庫内のオペレーションに精通した専門家の意見を聞くことが効果的です。
プラスオートメーションでは「現場の課題を解決すること」を目的とし、自動化のコンサルティングから適切なロボットの選定・導入まで、すべて一括で提供しています。
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