【保存版】在庫管理とは?効果的な方法5ステップとよくある悩みを徹底解説

物流業務において重要な「在庫管理」は、物流において必須の業務でありながら、課題点が多く、効果的な改善に至らない企業が多いのが現状です。棚卸しが煩雑だったり、出荷ミスによって在庫数がズレてしまったりと、悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

 

在庫は企業の利益に密接にかかわる重要なポイントだからこそ、改善を進めていきたいですよね。

そこでこの記事では、在庫管理の目的や効果的な管理方法を解説します。在庫管理によくある悩みと解決方法も紹介するので「自社の業務を改善して利益を増やしたい」という方は、最後までお読みください。

目次:

1.  そもそも「在庫」とは?製造業・非製造業で定義は異なる

2.  在庫管理の5つの目的を解説
     (1) 適正在庫を維持すること
     (2) 利益を増加させること
     (3) 顧客からの信頼を得ること
     (4) 製品の質を維持すること
     (5) キャッシュフローを最適化すること

3.  効率的な在庫管理の方法5ステップ
     (1) 5Sを実施する
     (2) 在庫の現状を分析する
     (3) 適正在庫を定める
     (4) 適切な発注コントロールをする
     (5) 定期的に在庫を分析し直す

4.  在庫管理の悩みと解決方法5選
     (1) 人員が不足している→ロボット導入で解決
     (2) 過剰在庫や欠品が多い→在庫管理表で「見える化」して解決
      (3) 納期に間に合わない→物流管理システム導入で解決

     (4) 出荷ミスが多い→在庫管理システム導入で解決
     (5) 発注コントロールが失敗→在庫管理システム導入で解決

5. まとめ

1. そもそも「在庫」とは?製造業・非製造業で定義は異なる

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こちらでは、そもそも「在庫」とは何か、ということを解説します。製造業・非製造業ともに、在庫とは「後に現金化される可能性があるもの」です。ところが、在庫に含まれる商品の状態が、製造業と非製造業で異なります。

非製造業における在庫:販売される前の商品であり、既に完成されているもの

製造業:製品だけでなく、完成する前の状態のものも含む

具体的には、以下のものが製造業における「在庫」になります。

  • 原材料
  • 仕掛品
  • 部品
  • 半製品
  • 製品

JIS(日本工業規格)は「在庫」を「将来の使用・需要に備えて意図的に保有する原材料、仕掛け品、半製品及び製品」と定めています。(参照元:JISC 日本産業標準調査会

「在庫管理を改善したい」と考えていても、商品によってアプローチの方法は様々です。具体的にどの商品の管理状況を良くしたいのかを検討したうえで、改善策を考える必要があるでしょう。

2. 在庫管理の5つの目的を解説

在庫管理とは、必要な資材を、必要な時に必要な分だけ提供できるように管理することです。商品が入庫してから出庫するまでの、倉庫内で保管する期間の業務全般を指します。

こちらでは、在庫管理の5つの目的を解説します。

  1. 適正在庫を維持すること
  2. 利益を増加させること
  3. 顧客からの信頼を得ること
  4. 製品の質を維持すること
  5. キャッシュフローを最適化すること

それぞれ詳しく確認していきましょう。

(1)適正在庫を維持すること 

適正在庫の維持は、在庫管理の最も重要な目的です。適正在庫とは、欠品を防げる最小限の在庫数のことを指します。

在庫管理を徹底すると、商品ごとの入荷頻度や出荷数が明らかになり「どんな商品がよく売れているのか」「どの商品の売れ行きがよくないのか」ということがわかります。このような情報を在庫管理業務の中で見える化・分析することで、適正在庫の維持が可能です。

さらに、適正在庫を維持すると余剰・欠品を防げるので、コスト削減や機会損失の防止が見込めるでしょう。

(2)利益を増加させること 

在庫管理を徹底すると「注文が入ったのに在庫がない」「売れ残りを破棄しなければいけない」といったトラブルを減らせます。適正在庫を維持することで機会損失や、余剰在庫の破棄コストを減らせるので、利益増加・コスト削減が期待できるでしょう。

さらに、在庫管理を徹底することで在庫の流れが明確になり、出荷ミスなども減らせます。そのため、返品などに伴う手間・時間を減らせるので人件費が削減可能です。

さらなる人件費削減や業務効率改善のために、在庫管理システムやロボットを導入すると、ヒューマンエラーの削減に役立ちます。


(3)顧客からの信頼を得ること 

顧客の需要に応えることが、信頼を得るために重要です。在庫管理を行うことで欠品を防ぎ、顧客の希望する商品を提供できます。さらに、在庫管理を効率化してリードタイムを短縮することで、納期を確実に守れるでしょう。

在庫管理を徹底すると商品の状態も正確に把握できるので、良い状態で納品可能です。また、ミスを減らせるので顧客の満足度が上がり、信頼を得られます。

顧客から信頼を得ると販売機会の増加につながるので、企業利益増大にも効果的です。

(4)製品の質を維持すること 

在庫管理を徹底することで、製品の質が維持できます。在庫の製造年月日や、賞味期限・消費期限が明確になるので「在庫の消費期限がいつの間にか過ぎていて破棄せざるを得なくなった」ということを防げるでしょう。

また、在庫管理の際に「ロットごとに管理する」「先入れ先出しを徹底する」ということを心がけると、品質維持に効果的です。

(5)キャッシュフローを最適化すること 

過剰在庫が発生すると、商品へ投資した資金を回収できなくなるため、キャッシュフローが悪化します。過剰在庫は在庫管理を適切に行い、商品の流れを分析することで防止できるでしょう。加えて、在庫管理を徹底して機会損失を防ぐことで、利益の最大化が可能です。

在庫管理の徹底は無駄を減らし、利益を増やすのでキャッシュフローを最適化できます。


3. 効率的な在庫管理の方法5ステップ

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こちらでは、効率的な在庫管理の方法5ステップを、業務の流れに沿って解説します。

  1. 5Sを実施する
  2. 在庫の現状を分析する
  3. 適正在庫を定める
  4. 適切な発注コントロールをする
  5. 定期的に在庫を分析し直す

それぞれ詳しく確認していきましょう。

(1)5Sを実施する 

5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字をとったものです。労働環境を改善し、効率よく業務を行うための仕組みを作る効果があります。

在庫管理を効果的に行おうと改善しようとする際に、既に5Sが徹底されている企業では作業の変更内容が反映されやすく、安全かつ効率的に業務改善が行えます。

5Sについて詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
【必見】5Sとは?導入するための5ステップと失敗しがちなポイントを徹底解説


(2)在庫の現状を分析する 

在庫管理を効果的に行うためには、まず在庫の現状を分析しなければなりません。現状を把握し、問題点を明確にするためです。在庫分析の方法は、以下の4つがあります。

  • ABC分析
  • 在庫回転率分析
  • 交叉比率分析
  • 在庫滞留分析

ABC分析は各商品の売れ行きを比較し、売れている商品、売れていない商品を分類する分析方法です。在庫回転率分析では「在庫が一定の期間でどれだけ入れ替わったか」を基準として、売れている商品を見極めます。

交叉比率分析では各商品が「どれだけ利益を生んでいるか」を求め、利益につながらない商品の在庫削減等を行います。在庫滞留分析は、売れ残りとして長い間停滞している在庫を導き、どの在庫に問題があるか分析する方法です。

商品の種類や在庫状況によって適切な分析方法は異なるため、自社に応じた分析方法を活用してみましょう。

(3)適正在庫を定める 

在庫の現状分析や、過去のデータをもとに適正在庫を定めましょう。適正在庫とは、欠品を防げる最小限の在庫数のことです。

適正在庫の計算方法は様々で、例えば以下のように求められます。

適正在庫=次の入荷までに想定される出荷量+安全在庫

「安全在庫」とは、急な注文やリードタイムの変動に対応するための在庫です。次の入荷までの想定出荷数は需要によって変動するので、適正在庫は一度定めた後も、定期的な見直しが必要です。


(4)適切な発注コントロールをする 

適正在庫を定めた後は、維持するために発注コントロールを行いましょう。時期や商品ごとに過去の売上データを参考にして、需要を予測することが大切です。

さらに、発注方法には以下の2つがあります。

  • 定量発注方式
  • 定期発注方式

定量発注方式は、在庫が一定の量を下回ったら発注する方式です。一方で定期発注方式は、「〇日ごとに1回」「毎月〇日に発注」など一定の期間で発注する方式です。

定期発注方式は、単価が安く需要の予測がしにくい商品の発注に適しており、定量発注方式は単価が比較的安く、手に入りやすい商品の発注に向いています。

自社が扱う商品の性質に適した発注方式を採用し、適切な発注コントロールを行いましょう。

(5)定期的に在庫を分析し直す 

需要は、季節や広告の影響などで変化し続けます。そのため、定期的に現状を分析・適正在庫を設定し直すことで需要の変化に対応した在庫管理を行えます。

さらに「5Sが継続されているか」「適切な発注コントロールが行えているか」ということも、定期的に確認しましょう。一時的には達成されていても、継続されていないと高い効果が期待できません。

4.  在庫管理の悩みと解決方法5選

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こちらでは、在庫管理によくある悩み5つを解決方法とともに紹介します。

  1. 人員が不足している→ロボット導入で解決
  2. 過剰在庫や欠品が多い→在庫管理表で「見える化」して解決
  3. 納期に間に合わない→物流管理システム導入で解決
  4. 出荷ミスが多い→在庫管理システム導入で解決
  5. 発注コントロールが失敗→在庫管理システム導入で解決

それぞれ詳しく確認していきましょう。

(1)人員が不足している→ロボット導入で解決 

在庫管理において「人員が足りない」「ベテラン作業員の退職で業務が滞っている」という悩みを解決するには、物流ロボットの導入が効果的です。

例えばプラスオートメーションが提供する自動搬送ロボット「CarriRo」は自律走行可能なため、作業員の負担削減・作業効率改善を同時に実現します。少ない人員でも多くの商品を搬送できるようになるため、効率よく作業が行えます。

さらにAIを搭載したピッキングロボット「ラピュタAMR」では、作業員は指示に従うだけで効率よく業務を遂行できるので、ベテラン・新人関係なく作業可能です。


(2)過剰在庫や欠品が多い→在庫管理表で「見える化」して解決 

在庫管理において「どうしても過剰・欠品が発生してしまう」という悩みを解決するには、在庫管理表を導入し、情報を「見える化」することが効果的です。

在庫管理表は「どの在庫がどこにいくつあるのか」という情報を、一括で管理できます。表にすると在庫の現状が可視化されるため、商品の流れも簡単に把握可能です。

さらに情報を社内で共有できるので、問題の早期発見・解決に役立ちます。発注コントロール・在庫の品質管理を正確に行えるため、過剰在庫や欠品を防止可能です。

(3)納期に間に合わない→物流管理システム導入で解決 

在庫管理において「納期に間に合わない」「他社と差別化したい」という悩みを解決するには、物流管理システムを導入し、リードタイムを正確に把握・短縮することが効果的です。

物流管理システムには、WMS(倉庫管理システム)とTMS(配送管理システム)があります。WMSは入庫から出庫までの、主に倉庫内の業務をサポートし、TMSは出庫から配送完了までの業務をサポートするシステムです。

WMSを用いると、在庫管理を含む倉庫内の業務を効率化できるので、出庫するまでのリードタイムを短縮できます。TMSを用いるとドライバーと道路状況を共有したり、配送状況をリアルタイムで知ることができたりするので、配送中のリードタイムの把握・短縮が可能です。

リードタイムを把握し、短縮することで納期を守れるだけでなく、配送スピードにおいて他社との差別化が期待できます。

(4)出荷ミスが多い→在庫管理システム導入で解決 

在庫管理において「出荷ミスが多く、損失が増えている」という悩みを解決するには、在庫管理システムを導入し、ヒューマンエラーを削減することが効果的です。

在庫管理システムは、在庫管理業務に特化した機能を持つシステムです。出荷用のハンディターミナルと連携すれば、間違った商品や数量を出荷しそうな時に警告してくれます。さらにシステムによっては適切な作業指示書を作成してくれるので、業務効率改善も期待できるでしょう。

物流市場が拡大し、在庫管理業務の重要性も増している中で、ヒューマンエラーは物流業務全体を滞らせかねません。高性能なシステムで在庫を管理することで、企業の信頼性を高められるでしょう。

(5)発注コントロールが失敗→在庫管理システム導入で解決 

在庫管理において「需要が予測できず、発注コントロールがうまくいかない」という悩みを解決するには、在庫管理システムを導入することが効果的です。

在庫管理システムによっては、過去のデータを参照して、分析を行う機能があります。システムを活用すれば、商品ごとや季節ごとの入荷・出荷・在庫のデータを作成可能です。

在庫管理システムが分析したデータをもとにすれば、かなりの精度で需要を予測できるでしょう。システムの導入は適正在庫の維持に役立つので、在庫管理業務を効率化できます。


5. まとめ

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在庫管理は企業の利益や在庫の品質に密接に関わるため、目的や方法を理解し、効率よく適切に行うことが重要です。

在庫管理を効果的に行うためには業務の目的を理解し、適切なステップを踏むことが必要です。現在自社が抱えている問題点は何なのか、どの業務を改善すべきなのかということをよく考えて、企業にあった在庫管理の改善方法を考えていきましょう。

なお、自社に最適な方法を考えるには、倉庫内のオペレーションに精通した専門家の意見を聞くことが効果的です。

プラスオートメーションでは「現場の課題を解決すること」を目的とし、自動化のコンサルティングから適切なロボットの選定・導入まで、すべて一括で提供しています。

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