ロケーション管理とは?種類やメリット、倉庫における課題と改善策を紹介

ロケーション管理は倉庫業務を効率化する重要な役割があります。なかには「どのように管理すべきか分からない」「ロケーション管理をしているのに出荷ミスが多い」という悩みを抱えている事業者もいるのではないでしょうか。

商品が煩雑になりやすい倉庫ほど見直しが必要です。取り扱う商品ごとに適した管理方法が異なるので、柔軟な対応力が求められます。

そこでこの記事では、ロケーションの管理方法や番号の付け方を詳しく解説します。ロケーション管理でよくある課題と改善策についても紹介していますので、管理方法に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

 

1. ロケーション管理とは?3種類を解説

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ロケーションは”位置・場所”という意味をもつ言葉です。物流業務において、倉庫内にある在庫商品の”保管場所”のことを指します。在庫商品を適切に管理するための手法が「ロケーション管理」です。

倉庫内で商品を格納する場所ごとに番号やコードなどを割り振り、どこに何があるのかをデータで管理します。ラックやスチール棚、収納ケース、平置きなど、商品や保管場所に応じて、保管方法が異なるのが特徴です。

なお、ロケーション管理には大きく分けて3種類の管理方法があります。

  1. 固定ロケーション
  2. フリーロケーション
  3. ダブルトランザクション

取り扱う商品の種類や出荷までの流れによって適した管理方法が異なります。3種類の管理方法について解説しますので、それぞれのメリットとデメリットを理解しておきましょう。

(1) 固定ロケーション

固定ロケーションは、商品ごとに置き場所を固定する管理方法です。分かりやすくてシンプルな方法であり、季節ごとの入れ替えがない定番商品の保管や、在庫管理システムを導入していない倉庫に適しています。

【メリット】

  • どこに何があるのか誰でも探しやすい
  • 入出庫作業がスムーズにできる

【デメリット】

  • スペースが空いていてもほかの商品を置けない
  • 商品入れ替え時やアイテム数の増減に応じて定期的にレイアウトを見直す必要がある

倉庫内で商品を探し回る必要がないため、作業効率や生産性が向上します

(2) フリーロケーション

フリーロケーションは、商品を置く場所を固定せず、保管場所を必要とする人が自由に使用できるスペースのことです。在庫量の変動が大きい商品、日付やロット管理が必要な商品の保管に適しています。

【メリット】

  • 空いたスペースを有効活用できる
  • レイアウトを見直す必要がない

【デメリット】

  • どこに置いたのか分からなくなりやすい
  • ピッキング作業の導線が長くなる

固定ロケーションのように置き場所が決まっていないので、倉庫内の保管効率が向上します

(3) ダブルトランザクション

ダブルトランザクションは、固定ロケーションとフリーロケーションを合わせた管理方法です。ピッキングをするためのエリア(ピッキングエリア)と在庫を保管するためのエリア(ストックエリア)に分けて商品を棚入れします。

ピッキングエリアでは固定ロケーション、ストックエリアではフリーロケーションを採用し、それぞれで在庫管理を行うのが特徴です。コスメや雑貨など、SKUが多く、細かい商品の管理に適しています。

【メリット】

  • 必要な商品がまとまっているのでピッキング効率が上がる
  • ピッキング時の導線が短くなり、体への負担が減る

【デメリット】

  • ピッキングエリアの在庫を補充する作業が必要
  • 大口出荷対応がある場合、ストックエリアからピッキングするケースもある

2つのエリアに分けることでピッキング作業と入出庫作業がそれぞれ最適化され、作業効率が向上します

 

2. ロケーション管理のメリット

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倉庫や商品に適したロケーション管理を行うことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 作業効率の向上
  • ピッキングミスの減少
  • 商品を適切に管理できる
  • 商品を探すというタイムロスがなくなる

倉庫管理システム(WMS)と連携すれば、ピッキングリストにロケーション番号が表示されるようになり、慣れない作業者でも商品を探しやすくなります。今まで商品の取り違えによるミスが多かった倉庫は、ロケーション管理を見直してみましょう。

なお、ロケーション管理は倉庫に合わせて柔軟に行うことが重要です。普段固定ロケーションで管理を行っている場合、一部のスペースをフリーロケーションとして確保しておくことで急な大量入荷などに備えられます。

 

3. ロケーション番号の付け方

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ロケーション管理で重要なのが、動きやすい導線で分かりやすいロケーション番号を付けることです。取り扱う商品や保管場所によって最適な方法が異なります。

ロケーション番号は「ロケ番」「棚番」とも呼ばれており、一般的な付け方は「列・連・段」での管理方法です。

ラックが置かれている順番
列の始まりから終わりまでの区切りの数
ラックの段数

なお、ロケーションを設定するときは以下の点に注意しましょう。

  • 動きやすい導線で並べる
  • 出荷頻度を考慮する
  • 隣り合う商品と混ざらないように分かりやすく区切る
  • 分かりやすいロケーション番号を付ける

ピッキングしやすいようにスチール棚や収納ケースなどで細かい商品を管理する場合は、単純に列番号と商品を並べる順番でロケーション番号を振り分けることもあります。

特に列番号は商品が保管されている場所を記す大きな目印であり、広い倉庫であるほど分かりやすくすることが重要です。数字やアルファベットだけでなく、一目で判断しやすいように動物の名前などを設定している倉庫もあります。

 

4. ロケーション管理の課題と改善策

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ロケーション管理は生産性に直結します。しかし取り扱う商品はさまざまであり、日々見直しや改善を行いながら倉庫ごとに適切な在庫管理方法を確立しなければなりません。

こちらでは、ロケーション管理でよくある3つの課題と改善するための方法を紹介します。

  1. 作業効率と保管効率の両立が難しい
  2. 返品商品や不良在庫が保管場所を圧迫している
  3. 倉庫が広く、ロケーション番号が探しにくい

ロケーション管理の最適化で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

(1) 作業効率と保管効率の両立が難しい

ロケーション管理は物流倉庫の効率化において有効な手段ですが、作業効率と保管効率を両立させるためには、商品の動きを細かく把握する必要があります

例えば固定ロケーションで商品を管理した場合、ラックの上段にある商品を取り出す際はフォークリフトが必須です。出荷頻度の低い商品を上段に置くことで作業効率は改善されますが、出荷頻度の高い商品ばかりを取り出しやすい位置にすべて保管できるとは限りません。

作業効率と保管効率を両立させるには、倉庫内をピッキングエリアと保管エリアに分割する「ダブルトランザクション」を用いた管理方法が有効です。

ピッキングエリアに個別包装の商品を置き、出荷効率を高めます。一方保管エリアにはケースやパレットなど、入荷したままの状態で保管します。エリアを分けることで、各作業を効率よく進めることが可能です。

ロケーション管理は柔軟に行うことで、作業効率と保管効率が向上します。出荷頻度やサイズなどをさまざまな角度から見直し、取り扱う商品ごとに適した手段を検討しましょう。

(2) 返品商品や不良在庫が保管場所を圧迫している

ロケーションを組むときは、返品商品や不良在庫の保管場所も考慮することが大切です。

不良在庫は不良品や欠陥品だけでなく、売れる見込みがないまま長期間在庫として残っている商品も含まれます。季節ごとの入れ替え、新旧商品の入れ替えによる店舗からの返品や、検品時の不良品などが増えて保管場所を圧迫するケースも少なくありません。

商品を委託されている倉庫では、売れる見込みがない不良在庫をあとからファミリーセールやセット組みをして販売するケースもあります。増え続ける返品商品と不良在庫に対応するためのフリーロケーションの確保が有効です。

取り出しにくい固定ラックの上段をフリーロケーションとして空けておいてもいいでしょう。ラックの上段を使用する際は、中身が何なのか、箱の外側に大きく記載して分かりやすくしておくと探しやすくなります。

 

もっとも良くないのは、業者間で返品商品や不良在庫のルールが明確に定められていないことです。委託されている場合は、どの程度の期間まで保管するなどのルール決めをしておきましょう。

(3) 倉庫が広く、ロケーション番号が探しにくい

ロケーション番号が記載されていても、倉庫が広かったり、高い位置に番号が書かれていたりするとすぐに判断できない場合があります。効率化するためのロケーション管理が作業者にとって見やすいものでなければ意味がありません。

近付かないと列番号が見えにくいのであれば、アルファベットではなくエリアごとに目印になる色を設定して管理するのも一つの方法です。作業者が文字を読まなくても色で探せるようになります。

また、アルファベットや番号だけでは思い込みで読み間違えてしまうことも多いでしょう。列番号を動物やフルーツの名前に設定するなど、商品数が多いほど間違えないようにするための対策が必要です。

 

5. まとめ

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ロケーション管理を正しく行うことで業務を効率化できるだけでなく、生産性の向上に大きく貢献します。ただし、柔軟な対応力が求められますので、さまざまなケースを想定してロケーションを組むことが大切です。

また、ロケーションを決めるときは出荷頻度や動きやすさを考慮し、作業者が分かりやすいように設定しましょう。取り扱う商品によって適した方法が異なります。

当社プラスオートメーションでは、業務を効率化するためのご相談をお受けしています。

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