物流用語である「荷役」読み方は「にやく」もしくは「にえき」と呼ぶこともあります。荷役とは具体的にどのようなことなのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、荷役が受け持つ作業内容を詳しく紹介します。また併せて事故につながる危険性もある荷役作業の安全対策についてもまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
4. 荷役作業にともなう危険性
荷役は運搬機械の操作ミスや不注意によってともなう危険が多く潜んでいます。本章では、荷役作業の危険性について、厚生労働省のデータをもとに詳しく解説します。
4-1 荷役作業の災害割合は全体の75.5%
厚生労働省によると、”陸上貨物運送事業における労働災害の75.5%が荷役作業時での災害である”と「荷役作業安全ガイドラインの解説」に明記されています。具体的な内訳は以下のとおりです。
荷役災害 |
75.5% |
交通労働災害 |
10.7% |
その他 |
13.8% |
運搬機械別に見ると、フォークリフトでの事故が約7割を占めています。
フォークリフト |
70.0% |
クレーン |
24.4% |
コンベヤー |
5.6% |
(参考:荷役作業安全ガイドラインの解説)
物流業界において、倉庫内での荷物の運搬にフォークリフトは欠かせない存在です。しかし高い位置にある荷物や不安定な荷物を運搬することも多く、少しの揺れや遠心力で荷崩れを起こす危険性などがあります。
荷役作業者に対して、災害を防止するために厚生労働省が取りまとめた「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に沿った指導を行うことが重要です。
4-2 死亡災害の約8割を占める「荷役5大災害」
厚生労働省が注意喚起する荷役5大災害は、以下のいずれかが原因で起こる事故のことです。死亡災害の約8割を占めています。
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令和2年に発行された「令和2年労働災害発生状況の分析等」では、陸上貨物運送事業における死者数が87人、死傷者数が15,815人という結果です。どちらも全体の1割以上を占めており、決して少ない人数ではありません。
荷役作業者には荷役5大災害の危険も周知するとともに、物流事業者はその対策に務める必要があります。
5. 荷役作業に有効な安全対策5選
こちらでは、荷役作業に有効な安全対策を5つ紹介します。
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5-1 マニュアルの作成と指導
物流事業者は厚生労働省が発行する「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に沿って運搬機械における安全対策マニュアルを作成し、荷役作業者を指導することが重要です。
その際、大型商品など、取り扱いが難しい商品に対するマニュアルも個別に用意されているといいでしょう。荷役作業者全員が知っておくことで、いつもと違う作業者が荷役を行った場合でも適切な対応ができます。
5-2 荷役5大災害対策の実施
厚生労働省では、荷役5大災害防止対策チェックリストを用意しています。物流事業者が施設内の荷役環境を見直すうえで役立つチェックリストです。具体的な事例に沿って荷役災害を学べる資料も揃っているので、荷役作業に危険がともなうことを会社全体で伝えていきましょう。
(厚生労働省:陸上貨物運送事業における荷役災害等を防止するための留意事項~重大な災害事例に学ぶ災害防止ポイント~)
5-3 リスクアセスメントの実施
リスクアセスメントは、職場内で起こりうるあらゆる危険性を洗い出し、対策や改善に務めるための作業です。作業に携わる一人ひとりの声を聞き、実施する必要があります。
荷役作業に限らず、会社全体で取り組むべき施策としても有効です。具体的なやり方は厚生労働省に関連資料や教材が用意されていますので、参考にしてみてください。(厚生労働省:リスクアセスメント等関連資料・教材一覧)
5-4 危険予知訓練(KYT)の実施
危険予知訓練(KYT)とは、作業を想定したイラストシートなどをもとに、作業にともなう危険要因を見つけ出して必要な対策を検討するものです。荷役災害になりかねないさまざまなケースを想定することで、実際の作業時のリスクを軽減できます。
危険予知訓練は荷役だけに限らず、会社全体で取り組むべき安全対策としても有効です。交通状況を想定したイラストシートを全従業員に配布して危険予知訓練を行うなど、通勤時の安全対策にもつなげられます。
5-5 自動搬送ロボットの導入
荷役作業の安全対策として、自動搬送ロボットを導入するのも1つの方法です。狭くて人が多い場所、運搬しにくい荷物など、自動搬送ロボットに荷役作業を任せることで荷役災害を回避できます。
自動搬送ロボットには、フォークリフトタイプや台車タイプなどさまざまなタイプがありますので、リスクのともなう状況に応じて検討してみるといいでしょう。
6. まとめ
荷役は入庫から出庫までの作業に携わり、物流業界において重要な存在です。しかし、専門的な運搬機械を使用することもあり、荷役災害のリスクがともなうことも忘れてはいけません。
プラスオートメーションでは、荷役作業の自動化に関するご相談もお受けしています。人手不足や荷役災害対策に悩む業者様や、ご不明な点や心配ごとがありましたら、お気軽に以下のご相談フォームよりお問い合わせください。