【重要】物流倉庫における棚卸しの目的とは?在庫計測を効率化するための7つの方法を紹介

物流業界では貨物の在庫状況を正確に把握するために、定期的な棚卸しが欠かせません。ところがなかなか時間がとれず、決算前や月末に慌てて行う企業もあるのではないでしょうか。

棚卸しは従業員にかかる負担も大きく、きちんと手順を決めておかないとミスが起こりやすい作業です。倉庫の規模が大きいほど時間がかかるため、通常業務に影響のない日時で計画的に実施する必要があります。

そこでこの記事では、棚卸し方法や実施する目的を紹介するとともに、棚卸し作業を効率化するための方法を紹介します。よくあるミスについてもまとめていますので、棚卸しへの課題を抱えている企業はぜひ最後までご覧ください。

 

1. 物流倉庫における棚卸しとは?2種類の方法を解説

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棚卸しとは、倉庫内の在庫数とデータ上のズレを一致させる作業のことです。ただ在庫数を一致させるだけでなく、倉庫の正確な利益を算出するためなど、いくつかの目的をもって実施されます。

なお、棚卸しは以下の2種類の方法で行われるのが特徴です。

  • 実地棚卸
  • 帳簿棚卸

どちらか一方の方法で行えばいいというわけではありません。2種類のやり方を組み合わせることで、より正確な在庫管理ができます。

(1) 実地棚卸

実地棚卸は、在庫を1つずつ数え、数量をリストに記入していく方法です。年に1回・半年に1回・2か月に1回など、取り扱う商品や会社の方針によって実施する頻度が異なります。

1つずつ数えることで、在庫数の確認だけでなく、商品の破損なども一緒に確認できる方法です。なお、実地棚卸には2種類のやり方があるので確認しておきましょう。

一斉棚卸

一斉棚卸は、すべての作業を停止させて行う方法です。通常業務を停止する分、スケジュールの調整と作業員の確保、在庫の整理整頓が重要となります。

効率的に進めるためには、手順や担当場所を割り振っておくことが大切です。効率よくスムーズに行い、通常業務への影響を少なくするための工夫が必要となります。

循環棚卸

循環棚卸は、通常の作業と並行して行う方法です。棚卸しを行う順番を決めてから通常業務と並行して実施するため、完了するまでに日数がかかることもあります。

同時進行となるため、通常の出荷作業に影響しないように注意しなければなりません。棚卸データを迅速に処理することが重要です。

(2) 帳簿棚卸

帳簿棚卸は、帳簿や専用のソフトウェアを利用して在庫管理を行う方法です。商品の在庫数を日々確認する目的で行われます。

帳簿棚卸を習慣化することで、実地棚卸にかかる負担の軽減が可能です。倉庫管理システム(WMS)などのシステムを活用することで、より正確でスムーズな在庫管理ができます。

 

2. 在庫の棚卸しを行う4つの目的

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棚卸しは、きちんと行う目的を理解して実施することが重要です。主な目的を3つ紹介します。

  1. 在庫数の差異を修正するため
  2. 滞留在庫を把握するため
  3. 品質を確認するため

倉庫の在庫管理力を高められるように、それぞれの目的を確認しておきましょう。

(1) 在庫数の差異を修正するため

倉庫内の正確な在庫数を把握することが棚卸しの大きな目的です。帳簿上の在庫数と実在庫数のずれを修正しないと、出荷に影響する可能性があります。

  • 商品があるはずなのに出荷できない
  • 実在庫があるのに欠品扱いになる

販売機会の損失や顧客とのトラブルを防ぐうえでも棚卸しが重要です。ロットの混ざりなどにも気付け、出荷ミス対策にもつながります。

(2) 滞留在庫を把握するため

滞留在庫(倉庫内にある売れ残りの在庫)を把握するうえでも棚卸しが有効です。長期間保管されている商品を定期的に見直し、保管効率や適正在庫を意識した改善策を考える必要があります。

また、棚卸しを行いながら倉庫のレイアウトを見直すことも重要です。あまり動きがない商品を棚の上段に移動させるなど、商品の流れを見ながら出荷しやすい導線を考え直しましょう。

(3) 品質を確認するため

実地棚卸で1商品ずつ在庫を確認することで、商品の品質(状態)を同時に確認できます。早い段階で破損や汚れに気付ければ、「不良品だから出荷できない」といったトラブルを回避できるでしょう。

棚卸しでどこまでチェックするかの基準は、取り扱う商品や倉庫によって異なります。賞味期限や使用期限のある商品、破損しやすい商品など、繊細な管理が必要な商品ほど定期的な見直しが大切です。

 

3. 棚卸しでよくある3つのミス

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こちらでは、棚卸しでよくあるミスを3つ紹介します。

  1. カウント漏れ
  2. カウントミス
  3. 記入ミス・入力ミス

これらのミスは物流倉庫に限ったことではありません。それぞれ詳しく解説します。

(1) カウント漏れ

カウント漏れは、棚の奥にある商品などを見落とし、カウントし忘れてしまうミスです。棚に商品が入りきらず、普段と違う場所に在庫が置かれている場合にも起こりやすくなります。

なお、カウント漏れの原因は単純な見落としだけではありません。カウント済み商品と未カウント商品の区別がうまくできずに、漏れてしまうこともあるので注意しましょう。

(2) カウントミス

カウントミスは、品番の似ている商品を間違えてカウントしてしまったり、入り数を間違えて計算したりすることで起こるミスです。重複してカウントしてしまうケースも考えられます。

目視のチェックであるほど、似ている商品を見間違える可能性が高くなるので注意が必要です。思い込みで作業せず、きちんと入り数を確認しながら計算しましょう。

(3) 記入ミス・入力ミス

記入ミスは、転記の際に商品名やロケーション、数量などを書き間違えることで起こるミスです。商品が抜けていることに気付かないまま棚卸しが進んでしまうケースもあります。

データを入力するタイプであれば、数字の読み間違えや入力間違えによって大きな誤差が生じる可能性があるので注意が必要です。チェック体制を整えるなど、間違えに気付ける仕組みをつくりましょう。

 

4. 倉庫での棚卸しを効率化するための7つの方法

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さまざまなミスが生じやすい棚卸しだからこそ、改善点を洗い出すことが大切です。こちらでは、倉庫での棚卸しを効率化するための7つの方法を紹介します。

  1. 棚卸しの手順を統一する
  2. 2人1組で数える
  3. 日々の作業をルール化する
  4. 整理整頓を心がける
  5. ハンディターミナルやRFIDを導入する
  6. 倉庫管理システム(WMS)を導入する
  7. 棚卸し作業をアウトソーシングする

すぐにできる取り組みから始めてみましょう。

(1) 棚卸しの手順を統一する

数え方や記入するタイミングなどの作業手順を統一することで、ミスを大きく軽減できます。棚卸しリストと一緒に作業手順を記載したものを一緒に渡すなど、作業者全員に周知することが大切です。

例えば、どの商品がカウント済みであるのかを分かるようにすることで、カウント漏れを防げます。紙に転記する場合は、転記してからチェックを入れるなど、細かい流れまでルール化しておきましょう。

(2) 2人1組で数える

目視での棚卸しによる数え間違いを軽減するためには、2人1組で混ざりがないか確認しながら数えることが重要です。入り数違いなど、思い込みによるミスも防げます

2人1組で行っていても、1人が数えてもう1人が記入するという分担になっていると数え間違えに気付けません。誤差をなくすために、必ず2人で数えることをルール化しましょう。

(3) 日々の作業をルール化する

棚卸しの手順だけでなく、倉庫内のすべての作業手順もルール化し、日頃からしっかりと在庫管理を行うことが重要です。日々の帳簿棚卸ができていれば、実地棚卸時の棚卸差異にも気付きやすく、大きな誤差を再確認できます。

倉庫で取り扱う商品はさまざまであり、バーコード管理が難しいものもあるでしょう。日々の作業をルール化することで大きなミスが起こりにくくなり、万が一トラブルがあった際に原因究明をしやすくなる点もメリットです。

(4) 整理整頓を心がける

単純なカウント漏れを防ぐためには整理整頓が重要です。いくらロケーション管理をしていても、通路に商品や資材が煩雑に置かれている状態だと、カウント漏れが起こりやすくなります。

棚卸し前の整理整頓はもちろん、日頃から作業しやすい環境を整えておきましょう。フリーロケーションで管理している場合は、似た商品をある程度まとめておくことも必要です。

(5) ハンディターミナルやRFIDを導入する

目視による棚卸しで課題が多い倉庫は、機械を用いることで効率的に棚卸しが行えます。ハンディターミナルやRFIDの導入を検討してみましょう。

ハンディターミナルは、バーコードを使用して情報を読み込むための機器です。倉庫だけでなく、さまざまな業界で幅広く導入されています。

RFIDは、ICタグを用いて電波を受信することで即座に数量を調べられる機器です。棚からパレットを下ろしたり、奥にある商品を取り出したりする必要がないため、棚卸しにかかる時間を大きく削減できます。

(6) 倉庫管理システム(WMS)を導入する

倉庫管理システム(WMS)には、入出荷管理機能・在庫管理機能・棚卸管理機能など、さまざまな機能が備わっています。導入することでヒューマンエラーを削減し、精度の高い倉庫管理を実現できる点がメリットです。

倉庫管理システムの棚卸管理機能では、在庫の保管場所や作業範囲を示した棚卸リストを作成できます。また、差異がある商品の一覧を確認することも可能です。

(7) 棚卸し作業をアウトソーシングする

棚卸しがスムーズに進まない、作業員の確保が難しいなどの課題がある倉庫は、棚卸し専門業者へのアウトソーシングも検討してみましょう。専門業者に任せることで、効率よく、ルール化された棚卸しを実現できます

自社で行う場合は人によっての力量が異なるため、なかなかミスを減らせないこともあるでしょう。また、棚卸しの作業員を確保するために一次的なアルバイトや派遣を雇うと、数がまったく合わずにやり直しになるケースもあります。

アウトソーシングはコストがかかりますが、ミスが減らない、時間がかかる、人が集まらないなどの課題を抱えている倉庫ほど、高い費用対効果を得られるでしょう。

 

5. まとめ

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棚卸しは物流倉庫の利益や正確な在庫を把握するうえで重要な作業です。作業者に棚卸しの目的や重要性を伝えるとともに、手順をルール化し、スムーズに実施するための対策を整える必要があります。

目視によるミスが多いなら、機械やシステムの導入も検討してみましょう。自社の負担や悩みを減らすためには、棚卸し専門業者への委託も有効な対策の1つです。

当社プラスオートメーションでは、倉庫の在庫管理をはじめ、効率化に関するご相談もお受けしています。例えば、オペレーションにロボットを導入することで、日頃の在庫の整理整頓や残荷のリスク低減が可能となり、日頃から在庫状況をきちんと把握できる状態へと繋がります。

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