物流におけるGTPとは?ロボットの概要やAGV・AMRとの違いを徹底解説

物流業界におけるGTPは、倉庫内でのピッキングや運搬業務をサポートするシステムやロボットを指す言葉です。言葉は知っているけど、どのようなシステム・ロボットなのか分からない方も多いのではないでしょうか?

GTPを導入することでスムーズに出荷作業が進み、生産性の向上につながります。しかし、導入すれば必ず効果を得られるわけではないため、自社の商材や倉庫規模に適しているか見極めることが大切です。

そこでこの記事では、GTPについて詳しく解説するとともに、あわせて比較されやすいAGVやAMRとの違いもまとめています。物流ロボットの導入を検討中の事業者様は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1. 物流におけるGTPとは?AGVやAMRとの違いを解説

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(画像引用:Amazon

まず、GTPがどのようなロボットなのか紹介します。比較・混同されやすいAGVやAMRとの違いも確認しておきましょう。

(1) GTPは作業者のいる場所まで荷物を運搬するシステム

GTPは「Goods to Person」の略称です。広義には、ロボットやシステムによりピッキング作業者のところまでピッキング対象物を運ぶ作業方式のことを指します。通常のピッキングでは人が商品のある棚の間を歩き回る事になりますが、GTPでは人は動かず、対象物となる商品が人のところまでやってくることになります。今はこうしたGTP型の搬送をするロボットの事をGTP、あるいはGTP型ロボットと称しています。同義の言葉として「棚搬送型ロボット」とも言います。

高効率で作業者の省力化、省人化を実現できるため、Amazonやニトリなどの大規模倉庫をはじめ、多くの倉庫での導入が進んでいます。

(2) AGVやAMRとの違いは作業方式

GTPとあわせて比較される搬送ロボットには、AGVAMRがあります。どのような違いがあるのか理解しておきましょう。

 

AGV

AGVは「Automatic Guided Vehicle」の略称で、無人搬送車のことです。磁気テープや二次元バーコード(QRコード)などの誘導体を用いて、指示された場所まで荷物を運搬します。GTP、棚搬送型ロボットも多くはQRコードで測位するAGVです。

AGVは決められたルートしか走行できないため、専用ルート確保が必要です。ピッキング用(GTP)・仕分け用・牽引用などさまざまな種類があり、商材や用途によって各メーカーで多様化しています。

関連記事:AGVとは?ロボットの概要や導入する5つのメリットなどを徹底解説

AMR

AMRは「Autonomous Mobile Robot」の略称で、自律走行搬送ロボットのことです。人と一緒に働く目的として開発されたロボットとして、「協働型搬送ロボット」とも呼ばれています。

AMRは、既存のレイアウトを変更せずに導入できるのが特徴です。搭載されたセンサーやカメラの情報からロボット自ら周辺情報を判断し、人や障害物を避けて走行します。ロボット本体はAGVより高額になるため、多くのロボットが協調して作業する仕分け用やピッキング用のロボットはAMRではなくAGVを採用しています。また、人と協働する為、専用の走行スペースを持つAGVより速度は遅くなります。

関連記事:AMRとは?ロボットの概要、導入メリットやポイントを徹底解説

 

2. GTPを導入する5つのメリット

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GTPを導入するメリットは以下の5つです。

  1. 保管効率が向上する
  2. 作業効率が向上する
  3. 省人化・省力化につながる
  4. 誤出荷を軽減できる
  5. 作業手順をルール化しやすい

それぞれ詳しく解説します。

(1) 保管効率が向上する

GTPでは、ロボットが必要な棚を下から持ち上げて、作業者のいる場所まで運搬します。通常のピッキングのように通路を確保する必要がないため、保管効率の向上に効果的です。

限られたスペースを効率よく活用できれば、物流コストの削減にもつながります。保管エリアと人が作業するエリアを明確に分けられるため、倉庫管理がしやすくなるでしょう。

(2) 作業効率が向上する

ロボットが作業者のところまで必要な商品を運搬してくれるため、作業効率が大幅に向上します。ピッキングのために倉庫内を行き来したり、商品探しに時間がかかったりすることがありません。

複数人でピッキングする場合、同じ商品に集中して混雑するリスクや、すれ違いによる待ちなどが発生します。GTPならそのような心配がなく、タイムロスになるリスクの削減が可能です。

(3) 省人化・省力化につながる

GTPによって作業効率や生産性が向上すれば、省人化・省力化につながります。人手不足で悩む物流倉庫にとって、GTPの導入は大きな改善策の1つです。

倉庫の省人化・省力化が進めば、人件費の削減も見込めます。作業者一人ひとりにかかる負担が減るため、離職率が低下し、採用コストも削減できるでしょう。

(4) 誤出荷を軽減できる

GTPを導入してピッキングを行えば、ロケーションを間違える心配がありません。商品を取り違えるリスクも減り、結果的に誤出荷の軽減につながります。

誤出荷が減ることで信頼性が高まり、顧客満足が向上します。GTPによって正確でスピーディーな作業ができるようになれば、さらなる事業の拡大にもつながっていくでしょう。

(5) 作業手順をルール化しやすい

GTPをはじめ、物流ロボットの操作は比較的簡単で覚えやすくなっています。作業手順をルール化しやすいため、慣れない作業者でも安心です。

特に新しい作業者が入る際は、指導する時間を考慮して人員配置を行う必要があります。GTPの導入により、新人育成にかかる時間を大幅に削減できるのもメリットの1つです。

 

3. GTPを導入する4つのデメリット

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GTPを導入するデメリットは以下の4つです。

  1. 費用対効果が見合わない可能性がある
  2. レイアウトの変更が必要
  3. オペレーションの見直しが必要
  4. システムトラブルが起こる可能性がある

デメリットになる部分をきちんと確認しておきましょう。

(1) 費用対効果が見合わない可能性がある

GTPを導入すれば、必ず効果を得られるわけではありません。ある程度の商品(倉庫)規模がないと、費用対効果が見合わず、コスト削減につながらない可能性があるので注意しましょう。

GTPの導入には、ロボットや商品棚、システム関連など、さまざま費用がかかります。さらに維持費などを考慮しなければならないため、どの程度導入効果を得られるのか、きちんと自社商品を見極めることが大切です。

(2) レイアウトの変更が必要

GTPを導入するためには、保管効率を高めるためのレイアウトに変更する必要があります。どの商品をどの棚に保管するかなど、関連性や使用する棚などを考慮しながらレイアウトを組むことが重要です。

いくらロボットが必要な商品を運搬するからといって、出荷頻度や関連性などを考えずにレイアウトを組んでしまうと、無駄な動きが発生します。ロボットと人が効率よく動けるための導線を整えることが大切です。

(3) オペレーションの見直しが必要

GTP中心の作業方式に切り替えるため、オペレーションの見直しも必要です。人とロボットの役割分担を明確にし、無駄のない動きができるように作業の流れを整えなければなりません。また、GTPはピッキング=出荷工程に目がいきがちですが、入荷オペレーションも見直しが必要となります。SKU数やオーダー数、出荷頻度の偏りなど、様々な条件・変数によりオペレーションを設計しなおす必要があります。

(4) システムトラブルが起こる可能性がある

GTPに限らず、ロボットを導入するうえで、システムトラブルが起こるリスクも考えておく必要があります。可能性は低いと言われていますが、ゼロではありません。特にGTPのロボットでは、普段人が入らない棚に商品を在庫する事になり、システムがなければどの棚に何が在庫されているかは分かりません。従来の棚に保管してある場合と比較し、システムの重要性は格段に上がります。

 

4. GTPを導入するには事前のシミュレーション・検討が不可欠

物流倉庫の規模や取り扱う商材によって、GTPでは効率化を期待できない場合もあります。ピッキングソリューションには、マルチピッキング用カートや、音声などピッキング補助システム、など多数の効率化の仕組みがあります。自動化・ロボットソリューションとしても、ピッキングアシストAMRがあります。自社にどれが適しているか比較することが重要です。

GTPによって導入効果を得るためには、ある程度の倉庫規模が必要となります。ロケーションやオペレーションも大幅に変更しなくてはなりません。

AMRは既存のレイアウトを活かした比較的小規模な倉庫でも導入し、効率化することが可能です。

 

5. まとめ

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GTPは、物流倉庫内のピッキングや運搬業務をサポートするシステムです。ロボットが商品のある棚を運んでくるため、省人化・省力化を実現できます。

導入することで業務効率や生産性を向上できますが、必ずしもGTPにすれば効果を得られるわけではありません。商材や倉庫の規模に適したロボットを導入することが大切です。

 

プラスオートメーションでは、物流倉庫の自動化に関する相談をお受けしています。

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