マテハン機器とは?作業工程別の種類や自動化を進める際の注意点を解説

マテハン機器は、物流業務の効率化において重要な役割をもちます。人の力で動かすものから物流ロボットまで、取り扱う商品や用途によって利用する機器の種類はさまざまです。 近年ではECサイトの普及により物流業界の激務化が進んでいます。それにともない労働力不足が問題視されるようになり、自動化を検討する倉庫も少なくありません。

そこでこの記事では、物流業界の課題とされている省人化・省力化につながる代表的なマテハン機器を作業工程別に紹介します。自動化を進める際の注意点もまとめていますので、ぜひ確認してみてください。

 

1. マテハン機器とは物流業務を効率化する機器や設備のこと

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マテハン機器とは、マテハン(モノの移動に関わる取り扱い)を効率化するための機器や設備のことです。マテハンには荷役・包装・保管・出荷などさまざまな業務が含まれており、マテハン機器も物流全体に大きく関わっています。

”機器”という言葉は機械・器械・器具の総称です。設置して使用する器具、人の力で動かすもの、自動走行ロボットなど、ひとまとめにマテハン機器といってもその種類は多岐にわたります。 

物流倉庫によっては業務の省人化や省力化につながる機械類を指してマテハン機器と呼ぶ場合もあります。マテハン自体には「パレット」や「ラック」など、機械とは無関係なものも含まれますが、機械的な装置=マテハンと考えるケースも多いです。

 

2. 【作業工程別】代表的なマテハン機器の種類を紹介

こちらでは、物流業界の課題である省人化・省力化につながる代表的なマテハン機器を作業工程別に紹介します。

  1. 運搬作業(フォークリフト・コンベア・運搬ロボット)
  2. 積載作業(パレタイザ・デパレタイザ)
  3. 仕分け作業(ソーター/ロボットソーター・ゲートアソートシステム)
  4. 保管作業(自動倉庫・仕分けラック)
  5. 出荷作業(ハンディターミナル・ピッキングシステム・ピッキングロボット・自動製函機)

導入することでどのようなメリットが得られるのか、一つずつ確認しましょう。

(1) 運搬作業におけるマテハン機器

運搬作業を省人化・省力化するためのマテハン機器には、操縦が必要なものから自立走行ロボットまでさまざまなタイプがあります。

・フォークリフト

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フォークリフトはパレットに積載された荷物を効率よく運搬・積載でき、高い場所への保管も行います。運搬や荷役作業に欠かせない存在です。

座って運転するカウンタータイプや立って運転するリーチタイプなどの種類がありますが、専用の運転免許証を取得すればすべての運転が許可されます。

・コンベア

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一定の速度で荷物を運搬するコンベアは、流通加工時の生産性の向上にも有効です。ベルト式やローラー式などの種類が選べ、高低差がある場所でも導入できるというメリットがあります。

ただし、装置を設置する場所の確保が必要であり、効率的なレイアウトをしっかりと考えることが必要不可欠です。

・運搬ロボット

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運搬ロボットはAGV(無人搬送車)やAMR(自立走行搬送ロボット)などの種類に分類されます。運搬作業をロボットに任せることで移動時間のタイムロスを削減でき、作業効率を向上できる点が大きなメリットです。

AGVとAMRの違いについては、それぞれを紹介する以下の記事にてご確認ください。

関連記事:AGVとは?ロボットの概要や導入する5つのメリットなどを徹底解説

関連記事:AMRとは?ロボットの概要、導入メリットやポイントを徹底解説 

(2) 積載作業におけるマテハン機器

積載作業でマテハン機器を活用すると、省人化につながるだけでなく、作業者の体への負担を軽減できます。

・パレタイザ

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(画像引用:ファインテック株式会社/フジエース

パレタイザはパレットの上に荷物を自動で積載する装置です。機械式とロボット式があります。

安全かつ安心して積載作業を行ううえでパレタイザの導入は効果的です。作業者が腰などを痛めるリスクを回避できます。

・デパレタイザ

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(画像引用:不二輸送機工業株式会社/デパレタイザ

パレタイザとは反対に、積載された荷物を積み下ろす作業を自動で行う装置です。

高く積まれた荷物を人の力で下ろす場合、荷物が落下する危険がともないます。デパレタイザを導入することで、落下による事故を回避できる点がメリットです。

(3) 仕分け作業におけるマテハン機器

人の手で行うとヒューマンエラーが発生したり、時間がかかる仕分け作業をマテハン機器によって自動化すると、作業を少ない人数で効率的に行えるようになります。

・ソーター/ロボットソーター

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自動仕分けを行う装置をソーターといい、スライドシュー式・パン式・クロスベルト式・ポップアップ式などの種類があります。導入することで仕分け作業を省人化できるだけでなく、仕分け時に起こりやすいヒューマンエラーの削減が可能です。

今まではコンベアで運ばれてくる商品を自動仕分けする形式が一般的でしたが、近年は手軽に導入できるロボットソーターの需要も高まり、導入する倉庫も増えています。

・ゲートアソートシステム

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(画像引用:トーヨーカネツ株式会社/ゲートアソートシステム

ゲートアソートシステム(GAS)は、バーコードを読み取ることで自動的に該当商品のボックスが開く自動仕分けシステムです。指示されたとおりに商品を入れるだけなので、慣れない作業者でも「場所が分からない」という心配がありません。

スムーズな仕分け作業を実現することで省力化に大きく貢献できるとともに、SKUの多い商品でも仕分けミスが起こりにくくなります。

(4) 保管作業におけるマテハン機器

保管作業で使用するマテハン機器は、倉庫全体のレイアウトを変更する必要があるなど、大型の商品が多いです。

・自動倉庫

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(画像引用:村田機械株式会社/AS/RS

自動倉庫は省人化に大きく関わる装置です。保管や管理、ピッキングなどを自動で行い、倉庫のスペースを最大限活用できます

パレット式やバゲット式などの種類があるので、取り扱う商品を考慮し、入念に検討したうえで導入しましょう。

・移動ラック

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(画像引用:株式会社ジャロック/電動式移動ラック

設置したレールに沿って移動する棚を移動ラックといいます。フォークリフトや人が入れる通路が1列で済むので、倉庫の保管効率を高められるのが特徴です。

動かし方には手動タイプと電動タイプがあり、電動タイプを導入すれば省力化につながります。

(5) 出荷作業におけるマテハン機器

ピッキング・検品・梱包に分類される出荷作業は、自動化および細分化することで省人省力につながります。

・ハンディターミナル

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(画像引用:株式会社デンソーウェーブ/BHT-M60

ハンディターミナルは、データの読み込み・送受信・蓄積などを行う携帯端末の装置です。ピッキングした商品に間違いがないか瞬時に判断し、スムーズに出荷作業を行えます。

目視のチェックでは見落としやすい類似品なども正確に判断できるため、さまざまな業界で活用されているマテハン機器です。

・ピッキングシステム

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(画像引用:矢崎化工株式会社/デジタルピッキングシステム

ピッキングシステムは、必要な商品の場所を作業者に知らせてくれる装置です。ピッキング時のタイムロスを減らし、生産性を向上できます。

SKUが多い現場で導入すれば、取り違えで起こる出荷ミスの予防が可能です。

・ピッキングロボット

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(画像引用:株式会社Mujin/ピースピッカー

ピッキングロボットはAI機能で商品を自動的に認識するタイプや、必要な商品を棚ごと運搬するタイプなど、物流業界の特性に合わせたさまざまなロボットが登場しています。

ピッキングや運搬をロボットが行うことで作業を細分化し、省人化・省力化に有効です。

・自動製函機

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(画像引用:ストラパック株式会社/全自動粘着テープ製函機AF-5N

ダンボールを自動で組み立ててくれる装置を自動製函機といいます。ダンボールの組み立ては意外と時間がかかり、1日の出荷件数が多い現場ではタイムロスになる部分です。

自動製函機は底面のテープ貼りまで行ってくれるため、作業者がほかの出荷作業に専念できます。また、ダンボール組み立て時に切断面で手を切るリスクも軽減できるでしょう。

 

3. マテハン機器で自動化を進める際の5つの注意点

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国土交通省が2021年に発行した資料「最近の物流政策について」によると、今後取り組むべき物流施策の中に「労働力不足や非接触・非対面型の物流に資する自動化・機械化の取組の推進」という項目が記載されています。

これによりマテハン機器による倉庫の自動化が加速していますが、導入する際には以下の点に注意することが大切です。

  1. 導入目的とゴールを明確にしておく
  2. 作業マニュアルを作成する
  3. 物流倉庫のレイアウトを見直す
  4. トラブル時のサポート体制を整えておく
  5. ロボットのタイプや導入費用を入念に比較して選ぶ

一つずつ確認し、事前に対策を整えておきましょう。

(1) 導入目的とゴール地点を明確にしておく

自動化するためにマテハン機器を導入したからといって、確実に効果を得られるわけではありません。導入することでどのような問題を改善したいのか、導入目的とゴール地点を明確にしておくことが重要です。

倉庫が抱える問題を洗い出し、優先順位をつけることで自動化すべき部分が明確になります。季節的な波動なども考慮し、先を見据えた対策をとることが大切です。

(2) 作業マニュアルを作成する

物流業務全体において、作業マニュアルの作成は重要です。自動化によって混乱が生じないように、新しい業務手順を検討しておく必要があります。自動化後に変更点があればその都度作成し直し、作業者全員に伝えることが大切です。

マテハン機器によって自動化を進めることで、業務を細分化できるメリットがあります。物流ロボットを導入する場合は、それぞれの役割を明確にした作業マニュアルを作成し、生産性や品質の向上につなげましょう。

(3) 物流倉庫のレイアウトを見直す

導入する機器によっては、倉庫内のレイアウトを大幅に変更する必要があります。なかにはレイアウトを変更せずに導入できる物流ロボットもありますが、導線や作業者との関わり方を考慮して、定期的にレイアウトを見直すことが大切です。

その際、実際に作業に携わる人たちの意見を聞きながら対策を考えていきましょう。物流倉庫のレイアウトの改善方法については、こちらの記事をご参考ください。

関連記事:【効率化】倉庫レイアウトを設計する5つのポイント!狭い場所の活用法や手順を徹底解説

(4) トラブル時のサポート体制を整えておく

マテハン機器の突然のトラブルに備えて、すぐに対応できる体制を整えておくことが重要です。自動化に関わる機器であれば専門的な対応が必要となり、しばらく業務が行えなくなる可能性もあります。

土日や夜間の対応ができるのか、トラブル時はどこに連絡してどのようなサポートをしてもらえるのか、大きな損失にならないように導入前にしっかりと確認しておきましょう。

(5) ロボットのタイプや導入費用を入念に比較して選ぶ

物流ロボットでの自動化を検討している場合、改善したい問題によって適したロボットが異なります。ロボットの導入費用も取り扱う会社によって変わってくるため、しっかりと比較して選ぶことが重要です。

なお、当社プラスオートメーションでは、初期費用ゼロ、月額使用料のみでロボットを提供しています。ロボットの導入は投資と思われがちですが、当社では月額定額制のサブスクリプションサービスとして導入効果を出すまでお客様と並走いたしますのでご安心ください。

 

4. 自動化に役立つ物流ロボットの紹介

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プラスオートメーションでは、自動化に役立つ物流ロボットを3種類取り扱っています。

  1. 次世代型ロボットソーター「t-Sort」
  2. 次世代協働型ピッキングロボット「ラピュタAMR」
  3. 自動搬送ロボット「CarriRo」

仕分けや運搬業務の自動化を検討中の物流業者様はぜひご確認ください。

(1) 次世代型ロボットソーター「t-Sort」

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t-Sortは仕分け作業をサポートするロボットソーターです。方面別・店舗別・オーダー別の仕分けを任せることで、ミスを減らし、作業効率を高められます。

小型でスペースをとらず、機種により最大30kgまでの商品を運搬できるのもt-Sortの特徴です。複数の送り先への仕分けを同時に行え、難しい操作もありません。

t-Sortの詳細はこちらから

(2) 次世代協働型ピッキングロボット「ラピュタAMR」

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ラピュタAMRは出荷をサポートする自立走行可能なピッキングロボットです。ロボット自身で周辺情報を検知し、人や障害物を避けて走行します。

運搬作業をラピュタAMRに任せることで、移動によるタイムロスの削減が可能です。最大40kgまでの商品を積載でき、複数件分のピッキングをまとめて運搬することで生産性の向上につながります。

(3) 自動搬送ロボット「CarriRo」

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CarriRoは運搬をサポートする自動搬送ロボットです。数時間で走行ルートを設置し、即日稼働で導入いただけます。

切替によって追従機能と自律機能が設定でき、適材適所で安定した走行が可能です。カゴ台車の牽引も行えるため、狭い場所から多くの荷物を運搬する際の手段としても適しています。

 

5. まとめ

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物流業務全体を効率化するために必要な道具や機械の総称がマテハン機器であり、その種類は多岐にわたります。倉庫の業務効率化を図るには、マテハン機器を効果的に利用することが大切です。

もしマテハン機器を用いて倉庫の自動化を進める際は、現状をしっかりと把握し、マテハン機器の特徴や費用を入念に比較したうえで選ぶようにしましょう。

  • 物流業務の改善や方向性について悩んでいる
  • 物流ロボットの導入効果を知りたい
  • 初期費用は抑えたい
  • はじめはスモールスタートしたい
  • まずは話だけでも聞いてみたい

プラスオートメーションでは、自動化を進めるにあたってのご相談もお受けしています。自動化について不安や疑問点がありましたら、お気軽に以下のフォームよりお問い合わせください。