マテハン(マテリアルハンドリング)とは?物流における機器の種類や自動化するメリットを紹介
物流業界において切り離せない言葉である「マテハン」。よく聞く言葉ではあるものの、具体的にどのような意味があるのか説明できない方も多いのではないでしょうか。
この記事ではマテハンの意味を説明するとともに、マテハンに関わる主な機器の種類を紹介します。
物流業界の労働力不足問題を解消するためにマテハンの自動化が進んでいますが、なかなか踏み切れない倉庫が多いのが現状です。
マテハンを自動化するメリット・デメリットについても解説していますので、自動化にお悩みの物流業者様はぜひ最後までご覧ください。
1. マテハンはモノの移動に関わる取り扱いのこと
マテハンとは、マテリアルハンドリング(Material Handling)の略称です。それぞれの単語には以下のような意味があります。
- Material:材料・資材・原料
- Handling:取り扱い・操作
物流業界においては「マテハン」と略されるのが一般的です。原材料・仕掛品・製品の物流管理作業を効率的に行うための方法など、モノの移動に関わる取り扱いのことを指します。
この物流管理作業には荷役・包装・保管・出荷などさまざまな業務が含まれおり、マテハンは物流全体に大きく関わる言葉として浸透しています。
各物流倉庫ではマテハンを効率的に行うための環境を整えることが重要であり、日々見直しや改善に努めることが大切です。近年加速する物流業界の労働力不足を解消する目的として、マテハンの自動化も進んでいます。
関連記事:物流倉庫での人手不足が深刻に!人手不足解消の有効な対策は?
2. 物流における代表的なマテハン機器15選と導入目的
効率的にマテハンを行うために用いられる機器のことを「マテハン機器」と呼びます。こちらでは、代表的なマテハン機器を15種類紹介しますので特徴や導入目的を見ていきましょう。
- 台車:運搬
- ハンドリフト:運搬
- フォークリフト:運搬
- コンベア:運搬
- 運搬ロボット:運搬
- パレット:積載
- パレタイザ:積載
- ソーター:仕分け
- ネステナー:保管
- ラック:保管
- 自動倉庫:保管
- ハンディターミナル:出荷
- ピッキングシステム:出荷
- ピッキングロボット:出荷
- 自動製函機:梱包
一つずつ解説します。
(1) 台車:運搬
台車は人の力で一度に多くの荷物を運搬でき、誰でも簡単に使用できるのが特徴です。小回りがきくため、狭い場所から荷物を運搬する際の手段として多くの倉庫で利用されています。
折りたたみ式の台車や荷崩れを防げるカゴ台車など、形やサイズはさまざまです。
(2) ハンドリフト:運搬
ハンドリフトはパレットに積載された荷物を移動させるための機器で、台車では対応できない量や重さの荷物を運搬できるのが特徴です。
ハンドパレットトラック・ハンドジャッキなどさまざまな種類があり、略称でハンドとも呼ばれています。
(3) フォークリフト:運搬
フォークリフトはパレットの運搬や積載を行うための運搬用自動車であり、荷役作業の効率化において重要な役割をもちます。
近年では自動運転タイプのフォークリフトもありますが、人が乗って運転する場合は専用の運転免許証が必要です。
(4) コンベア:運搬
コンベアは一定の速度で荷物を運搬する装置のことです。ベルト式やローラー式などの種類があり、高低差がある場所でも導入できます。
自動的に運ばれてくる商品へ手を加えることもできるため、流通加工時の生産性の向上においても効果的です。
(5) 運搬ロボット:運搬
AGV(無人搬送車)やAMR(自立走行搬送ロボット)などの種類がある運搬ロボットは、業務の効率化や労働力不足問題の解消として導入が進んでいます。比較的簡単な操作で誰でも覚えやすいため、新人教育にかかる時間を削減できるのもメリットです。
関連記事:AGVとは?ロボットの概要や導入する5つのメリットなどを徹底解説
(6) パレット:積載
パレットは大型の荷物や大量の荷物をまとめて積載する際に便利な機器です。そのままトラックに積み込んだり棚に保管したり、物流業界に限らずさまざまな場所で利用されています。木製やプラスチック製など、形状やサイズの種類が豊富です。
(7) パレタイザ:積載
(画像引用:ファインテック株式会社/フジエース)
パレットの上に荷物を自動で積載する装置をパレタイザといいます。作業者にとって負担の大きい積み込み作業の自動化が可能です。反対に積載された荷物の積み下ろしを行う装置をデパレタイザといいます。
(8) ソーター:仕分け
ソーターはコンベアで運ばれてきた商品を自動仕分けする装置です。スライドシュー式・パン式・クロスベルト式・ポップアップ式などさまざまなタイプがあり、高精度で高速な仕分けを行います。
近年ではロボットソーターの需要も高まっており、大掛かりなコンベアを設置しなくても仕分けの自動化が可能です。
(9) ネステナー:保管
(画像引用:エレクター株式会社/ネステナー)
物流倉庫の保管機能を向上させる目的として多くの倉庫で導入されているネステナーは、パレットとセットで利用されるのが一般的です。使わないときは重ねて保管できるため、必要なときに自由にレイアウトを組み替えられるというメリットがあります。
(10) ラック:保管
物流倉庫の保管において欠かせない存在であるラックは、移動式や固定式などさまざまなタイプがあります。用途に応じて使い分けることで、先入れ先出しなどの複雑な管理をスムーズに行うことが可能です。
(11) 自動倉庫:保管
(画像引用:村田機械株式会社/AS/RS)
保管や管理、ピッキングなどを自動で行う自動倉庫は、倉庫の省人化に大きく貢献する装置です。人が入るスペースを考えずに倉庫の高い位置まで設計できるため、保管スペースを有効活用できます。
パレット式やバゲット式など、取り扱う商品によってタイプはさまざまです。
(12) ハンディターミナル:出荷
(画像引用:株式会社デンソーウェーブ/BHT-M60)
ハンディターミナルはデータ収集を手軽に行える携帯端末のことで、データの読み込み・送受信・蓄積などが行える装置です。リアルタイムでデータを反映でき、出荷ミスの予防にもつながります。
物流業界に限らず、製造業や小売業など多くの業界で幅広く活用され、業務の効率化においても欠かせない存在です。
(13) ピッキングシステム:出荷
(画像引用:矢崎化工株式会社/デジタルピッキングシステム)
ピッキングシステムは作業者のピッキングをサポートするシステムです。必要とする商品の場所を知らせてくれるので、商品が見つからないなどの理由でタイムロスになることがありません。作業効率が大幅にアップします。
(14) ピッキングロボット:出荷
(画像引用:株式会社Mujin/ピースピッカー)
AI機能を活用し、自動で商品を認識してピッキングを行うピッキングロボットの導入も進んでいます。作業者のいる場所まで必要な商品を棚ごと運搬するピッキングロボットもあり、商品の形や大きさが豊富な物流業界の課題に対し、徐々に進化を遂げています。
(15) 自動製函機:梱包
(画像引用:ストラパック株式会社/全自動粘着テープ製函機AF-5N)
自動製函機とは、自動でダンボールを組み立て、底面のテープ貼りまで行ってくれる装置です。特に出荷数が多い倉庫ではダンボールの組み立てにかかる時間を大きく削減でき、作業者がほかの作業に専念できます。
3. マテハンを自動化する5つのメリット
近年では、労働力不足の解消をはじめ、さまざまな目的でマテハンの自動化が進んでいます。こちらでは、マテハンを自動化することで得られるメリットを5つ紹介しますので、自動化を検討中の物流業者様はぜひご確認ください。
- 業務の効率化
- 人件費の削減
- 出荷ミスの削減
- 作業者の負担軽減
- 倉庫内で起こる事故の軽減
(1) 業務の効率化
マテハンを自動化することで作業手順がルール化され、業務効率が大きくアップします。物流ロボットを導入すれば誰でも比較的早く操作方法を覚えられるため、新人育成にもあまり時間がかかりません。
今まですべての作業を人の手によって行っていたのであれば、運搬作業を自動化することで移動時間が削減できます。ロットが多い商品なら、仕分け作業をサポートできるロボットの導入が効率化するために有効です。
(2) 人件費の削減
労働力不足で大きな問題を抱えている倉庫なら、自動化することで省人化・省力化につながります。人件費を削減できるのが大きなメリットです。
新しい作業者を採用する場合、新人育成にかかる時間だけでなく、求人・面接などの採用コストも多くかかります。必ずしも作業者が増えるとは限らないので、結果的に大きな損失につながってしまう可能性もあるでしょう。
(3) 出荷ミスの削減
マテハンを自動化すれば出荷ミスの削減が可能です。ミスが減ることでクレームも減り、品質の向上にもつながります。
物流ロボットは、同じ作業を繰り返し行うことが得意です。決まった商品を出荷する取引先への対応や、同じ動作を黙々と繰り返す作業など、人間だと集中力が途切れやすい部分を自動化することで、失敗を減らせるでしょう。
(4) 作業者の負担軽減
ピッキングの際に作業者が何度も往復するのは非効率的です。移動距離が長いほど体力の消耗が大きくなり、作業者によって生産性が異なるという問題も生じます。
そこで運搬作業を自動化すれば、移動時の負担を大幅に減らすことが可能です。例えば「作業員の手元に必要な商品を持ってくるロボット」を導入すると、人が動くことなく、出荷作業を行えます。
さらに狭い場所に多くの人が集中するなど、ピッキング時の混雑も解消可能です。
(5) 倉庫内で起こる事故の軽減
荷物を持ち上げる作業、移動させる作業が多いのが物流業界の特徴です。台車やフォークリフトなど運搬に便利な機器はたくさんありますが、接触や荷崩れなどで物流事故が起こる可能性があることを忘れてはいけません。
自立走行ができる物流ロボットを導入すれば、運搬時の接触事故や荷崩れによる巻き込み事故を軽減できます。特に荷役作業には、ともなう危険が多いため、各倉庫で事故を防ぐための防止策をしっかりと考えていかなければなりません。
関連記事:荷役とは?物流倉庫内での作業内容、ともなう危険や安全対策まで徹底解説
4. マテハンを自動化する2つのデメリット
マテハンを自動化することで多くのメリットを得られますが、デメリットになる部分もあります。
- 導入コストがかかる
- トラブル時の対応に時間がかかる
自動化を検討する際はデメリットも理解し、対策を整えておきましょう。
(1) 導入コストがかかる
マテハンを自動化するためには、機器本体の購入費や設置費用、システムの連携費用など、多額の導入コストがかかります。導入する目的とゴールを明確にしておかないと投資コストを回収できず、自動化が経営を圧迫する可能性もあるので注意が必要です。
自動化を検討する際は繁忙期や閑散期まで予測して考慮し、必要な場所を見極める必要があります。すべて自動化にすれば、必ずメリットを得られるわけではない点に注意しましょう。
なお、当社プラスオートメーションでは、ロボット導入の支援からシステムの統合、維持管理まで、すべてをワンストップでご提供します。
初期費用ゼロ、月額使用料のみのシンプルな料金体系となっているので、導入コストの心配がありません。自動化へのお悩みがあれば、ぜひプラスオートメーションへお気軽にご相談ください。
(2) トラブル時の対応に時間がかかる
万が一ロボットにトラブルが起きた場合は、専門的な対応が必要です。業務全体に大きく影響するロボットであれば、数日間営業停止になる可能性もあります。
突然の事態に備えて、ロボットを取り扱う業者から起こりうるトラブル事例などを聞いておきましょう。同じような事態を想定してトラブル時のマニュアルを用意しておくと安心です。
5. まとめ
物流業界では、マテハンに関わる作業をいかに効率化できるかが重要です。
高まる需要と労働力不足に対応する対策として自動化が進んでいますが、倉庫の現状をしっかりと見極めて導入しなければなりません。
プラスオートメーションでは、マテハンの自動化に関する相談もお受けしています。物流ロボットの導入は多額のコストがかかると思われがちですが、プラスオートメーションは初期費用をかけずにスモールスタートできるのが特徴です。ご不明な点や心配ごとがありましたら、お気軽に以下のご相談フォームよりお問い合わせください。