物流ロボットの種類と特徴|倉庫に導入するメリットや失敗しないためのポイントを紹介

ECサイトの普及により物流の需要が高まる一方、労働力不足が問題視されるようになりました。そこで注目されるようになったのが倉庫の自動化をサポートする物流ロボットの導入ですが、「コスト面が心配」「どこを自動化したらいいのか分からない」という理由で踏み出せない事業者様も多いのではないでしょうか。

ひとまとめに物流ロボットといっても、タイプや役割はさまざまです。そこでこの記事では、物流ロボットの主な種類と特徴、導入するメリット・デメリットを紹介します。ロボットの導入で失敗しないためのポイントもまとめていますので、ぜひお役立てください。

 

1. 物流ロボットとは?主な種類と特徴を解説

画像1

まず、物流ロボットにはどのような種類があるのか見ていきましょう。主なロボットの種類と特徴を紹介します。

  1. AGV
  2. AMR
  3. GTP
  4. PaLs
  5. AS/RS

それぞれの違いを理解しておきましょう。

(1) AGV

AGVは「Automatic Guided Vehicle」の略称で、無人搬送車のことです。磁気テープやレーザーなどの誘導体に沿って、目的の場所まで資材や荷物を運搬します

AGVには、ピッキング用・仕分け用・牽引用などの種類があり、大きさや形もさまざまです。作業者の移動にかかるタイムロスを減らして、荷物が自動的に適した場所へ移動するという仕組み作りができます。

関連記事:AGVとは?ロボットの概要や導入する5つのメリットなどを徹底解説

(2) AMR

AMRは「Autonomous Mobile Robot」の略称で、自立走行搬送ロボットのことです。ロボットに搭載されたセンサーやカメラの情報から周辺情報を判断し、自ら人や障害物を避けて走行します

AGVのように専用の走行ルートを確保する必要がないため、既存のレイアウトを変更せずに導入できるのがメリットです。人と一緒に働くために開発されたロボットとして、「協働型ロボット」とも呼ばれています。

関連記事:AMRとは?ロボットの概要、導入メリットやポイントを徹底解説

(3) GTP 

GTPは「Goods to Person」の略称で、棚搬送型ロボット棚流動型ロボットと呼ばれています。 

該当商品のある棚が作業者のもとにやってくるという作業方式でピッキングを行うのが特徴です。「作業者が定位置で作業を行う」という行為そのものを、GTPと呼ぶケースもあります。

設備を整えるために大幅なレイアウトの見直しが必要ですが、人が入るスペースを考える必要がないため、倉庫の保管効率もアップします。

(4) PaLs

PaLsは「Paking and Labeling System」の略称で、梱包と送り状の貼り付けを自動で行うロボットです。自動で納品書をスキャンする機能が備わっているため、手作業のように貼り間違える心配もありません。

ポスト投函型の薄型ダンボールにも対応できるため、EC通販事業においても高い効果を発揮するでしょう。

(5) AS/RS

AS/RSは「Automated Storage and Retrieval System」の略称で、自動倉庫のことを指します。倉庫保管スペースを天井まで最大限活用し、パレット・コンテナ・ロール・長尺物など、さまざまな形状の荷物の保管が可能です。

先入れ先出しを正確に実行でき、格納スペースが分離されることで安全性も高まります。ソート機能やピッキング機能などを備えたタイプもあり、用途に応じてさまざまな形態に対応できるのが特徴です。

 

2. 物流ロボットによる自動化が進む2つの大きな理由

画像2

物流ロボットによる自動化が進む理由には、大きく分けて2つの理由が考えられます。

  1. ECサイトの普及による激務化への対応
  2. 労働力不足の深刻化の改善

どちらもさらに深刻化していくであろう物流業界の大きな課題です。ぜひご確認ください。

(1) ECサイトの普及による激務化への対応

インターネット環境の充実に伴い、さまざまな企業がEC事業に参入し始めました。

消費者からしても手軽に利用できるECサイトの需要は高く、その結果物流業界の激務化が深刻になったのです。

例えば顧客満足度を高めるために、出荷単位を細かく設定しているケースが挙げられます。すると「今までは箱単位で出荷していたものを取り出して再梱包する」という手間がかかり、業務量が増えてしまいます。

すると作業員の数を増やさないと対応できなくなり、人件費などのコストが高くなってしまう可能性があるでしょう。

そこで単純な作業であるピッキングや運搬などを自動化するために、ロボットを導入するケースが増えています。ロボットにより業務を効率化し、人員コストを削減することが狙いです。

ECサイト側としても事業の拡大につながるメリットにもなりますので、今後さらに物流ロボットの導入が進んでいくでしょう。

(2) 労働力不足の深刻化の改善

物流業界の激務化にともない、労働力不足が深刻化しています。倉庫内で働く人やドライバーなど、物流全体に負担がかかり、需要と供給のバランスが整っていない状況です。

これはECサイトの普及だけが問題ではなく、少子高齢化社会とも深く関わっています。物流に携わる人の平均年齢が高くなり、体力的な面も懸念されるようになりました。新しい人材を募集してもなかなか人が集まらないのが現状です。

労働力不足および高齢化対策としても、物流ロボットの導入が有効です。省人化・省力化を進める企業が増えています。

関連記事:物流倉庫での人手不足が深刻に!人手不足解消の有効な対策は?

 

3. 物流ロボットを導入する5つのメリット

画像3

こちらでは、物流ロボットを導入することで得られるメリットを5つ紹介します。

  1. 物流倉庫の省人化
  2. 人件費の削減
  3. 業務の効率化
  4. 品質の向上
  5. 倉庫内事故の軽減

(1) 物流倉庫の省人化

今まで人の力で行っていた作業(運搬・梱包・仕分けなど)を物流ロボットに任せることで、物流倉庫の省人化につながります。労働力不足に大きく貢献できるでしょう。

労働力不足は出荷遅れや作業者にかかる負担の増加など、さまざまな問題を引き起こします。さらに深刻化する前に早めに対策を整えることが重要です。

(2) 人件費の削減

物流ロボットを導入することで、特に人件費にかかる物流コストを大きく削減できます

新しい作業者を募集する場合、求人・面接などの採用コスト、新人教育にかかるコストなどが必要です。物流ロボットによって省人化することで、採用にかける時間と労力が削減できます。

(3) 業務の効率化

物流ロボットの導入により複雑だった既存のオペレーションを改善し、業務の効率化につなげられます。ロボットの操作は比較的簡単であり、誰でも同じように作業を行える点がメリットです。新人教育の時間もあまりかかりません。

例えば人と協働できるAMRを導入することで、タイムロスになりがちな運搬作業をロボットに任せ、ピッキング作業に専念できます。ロットやSKUの多い細かい商品であれば、仕分け作業を自動化することで仕分けミスの削減が可能です。

(4) 品質の向上

物流ロボットは仕分けミスや出荷ミスなどのヒューマンエラーを防ぐうえでも有効です。ミスが減ることで品質が向上し、顧客との信頼関係も高まるでしょう。

物流業務には多くの人やモノが関わるため、属人的になってしまう部分もあります。ロボットは同じ作業を繰り返し行うことを得意とするため、属人化を解消する手段としても効果的です。

(5) 倉庫内事故の軽減

台車やハンド、フォークリフトなどを使用して荷物を運搬する際、人との接触事故や荷崩れによる巻き込み事故が起こる可能性もあります。運搬作業を物流ロボットに任せれば、倉庫内事故の軽減にもつながるでしょう

運搬に役立つ物流ロボットは、手軽に導入できる台車タイプから無人フォークリフトまで、さまざまな種類があります。倉庫の広さなどを考慮し、安全で効率化できるタイプを検討しましょう。

 

4. 物流ロボットを導入する3つのデメリット

画像4

こちらでは、物流ロボットの導入でデメリットになる部分を3つ紹介します。

  1. 導入コストがかかる
  2. 業務フローの見直しが必要
  3. レイアウトの変更が必要

(1) 導入コストがかかる

ロボット本体の費用や設置費用、システム関連費用など、ロボットによってかかる費用は異なります。導入コスト以外にも月額費用や保守費用も必要です。

場合によっては、トータルで数千万円のコストが発生することもあるでしょう。費用ばかりがかさんでしまい、逆に経営を圧迫してしまうかもしれません。 

長期的に見るとコスト削減につながりますが、導入初期にある程度の投資費用を用意する必要がある点は、ロボットのデメリットです。

なお、物流ロボットをサブスクリプションサービス(RaaS)で提供するプラスオートメーションでは、初期費用ゼロ、月額使用料のみのシンプルな料金体系で物流ロボットを使ってみることが可能です小規模から始めてみたいという事業者様でも安心できるサービスです。質問やご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

(2) 業務フローの見直しが必要

物流ロボットを導入すれば、今までのオペレーションが大きく変わることになるでしょう。現場で混乱が生じないように業務フローを見直す必要があります

実際にロボットを導入してからも定期的に現場の意見を聞きながら、日々改善に努めることが大切です。

(3) レイアウトの変更が必要

導入する物流ロボットの種類によっては、大掛かりなレイアウトの変更が必要です。例えばGTP(棚搬送型ロボット)を導入するのであれば、移動型のラックを用意し、滞りなく作業員のもとへ搬送するための動線を作らなくてはなりません。

レイアウトの変更に伴い、既存のオペレーションをしばらく停止する可能性もあるでしょう。ロボットは導入までにかかる時間も考慮し、お客様に迷惑がかからないように計画的に進めていくことが重要です。

 

5. 物流ロボットの導入で失敗しないための5つのポイント

画像5

こちらでは、物流ロボットの導入で失敗しないためのポイントを5つ紹介します。

  1. 倉庫が抱える問題や課題を明確にしておく
  2. 作業マニュアルを作成して共有する
  3. 無駄なく動ける導線でレイアウトを組む
  4. トラブル時の対応を最適化しておく
  5. 導入コストやサポート体制を考慮して選ぶ

ロボットの導入を検討中の事業者様は、ぜひ最後までご覧ください。

(1) 倉庫が抱える問題や課題を明確にしておく

物流ロボットを導入したからといって必ず効果を得られるわけではありません。どのような問題や課題を改善するために物流ロボットの導入を考えているのか、目的とゴールを明確にしておくことが重要です。

改善すべき事項が複数ある場合は、優先順位をつけることで自動化が必要な部分を判断しやすくなるでしょう。

(2) 作業マニュアルを作成して共有する

人とロボットの役割分担を明確にし、それぞれの作業マニュアルを作成して稼働前に共有しておくことが大切です。業務を委託されている場合は、必ず取引先とも共有しておきましょう。

ロボット導入後は定期的に効果を検証し、改善を行っていくことも重要です。その都度マニュアルを見直しましょう。

(3) 無駄なく動ける導線でレイアウトを組む

ロボットを導入することで作業者の動きがどう変わるのかを考え、無駄なく動ける導線でレイアウトを組み直しましょう。出荷の波動を考慮しておくと、ピッキング時の渋滞を回避できます。

中にはAMRのように既存のレイアウトのまま利用できるロボットもあるので、変更が難しい場合は、手軽に導入できるロボットを利用することが効果的です。

(4) トラブル時の対応を最適化しておく

ロボット自体に何かトラブルが起きた場合に備えて、すぐに対応できる体制を整えておくことが重要です。そのためには事前に起こりうるトラブル事例や対処方法などを聞き、マニュアル化しておくことでスムーズな対応につながります。

めったに起こることはないと言われていますが、ロボットも万能ではありません。万が一の事態を想定して対策を整えておくと安心です。

(5) 導入コストやサポート体制を考慮して選ぶ

ロボットを取り扱う会社によって、導入コストやサポート体制が異なります。自社の課題に寄り添って並走できるような、提案力のある会社であると安心です。

物流ロボットの導入コストを考えるとなかなか踏み出せない事業者様は、当社プラスオートメーションのサブスクリプションサービスもご検討ください。初期費用がかからず、閑散期などを考慮して運用できるため、コストを大幅に抑えられます。

 

6. プラスオートメーションで取り扱っている物流ロボットの紹介

画像6

プラスオートメーションのサブスクリプションサービスで利用できる物流ロボットを4種類紹介します。

  1. 次世代型ロボットソーター「t-Sort」
  2. 次世代協働型ピッキングロボット「ラピュタAMR」
  3. 自動搬送ロボット「CarriRo」
  4. 搬送AMR「JUC-S800R」

ぜひご確認ください。

(1) 次世代型ロボットソーター「t-Sort」

画像7

t-Sortは仕分け作業をサポートする次世代型ロボットソーターです。小型で場所をとらず、方面別・店舗別・オーダー別・返品・入荷仕分けを自動化できます。

人の手で行うとミスが起こりやすい仕分け作業を自動化することで、ヒューマンエラーの軽減が可能です。業務効率化と品質の向上に大きく貢献できるでしょう。

(2) 次世代協働型ピッキングロボット「ラピュタAMR」

画像8

ラピュタAMRは出荷をサポートする次世代協働型ピッキングロボットです。ロボット自ら人や障害物を避けて走行でき、ピッキングが終わった商品の運搬を担当します。

複数件分のピッキングを最大40kgまで運搬可能です。タイムロスになりがちな運搬作業を任せることで生産性の向上が見込めます。

(3) 自動搬送ロボット「CarriRo」

画像9

CarriRoは台車の形をした自動搬送ロボットです。設置した走行ルートをもとに、追従走行および自立走行で荷物を運搬します。

パレット積載物やカゴ台車の牽引も行えるため、まとまった荷物の運搬に最適です。即日稼働で導入いただけます。

(4) 大型搬送AMR「JUC-S800R」

PRtimes用JUC画像

JUC-S800Rは、工程間搬送、重量貨物のピッキング、仕分けなど、様々なシーンで利用可能な汎用型の大型AMRです。

wi-fi環境さえあれば、自律的に走行します。床面へのマーカー設置は不要なので、フォークリフトやカートとルートを共有、効率的なオペレーションを実現します。最大800kgまで運搬可能です。

 

7. まとめ

物流業界の激務化と労働力不足への対策として、物流ロボットの導入が効果的です。さまざまな種類のロボットが開発され、倉庫への導入が進んでいます。

ロボットを導入することでメリットになる部分が多いですが、導入したからといって必ず効果を得られるわけではありません。デメリットになる部分も理解し、導入コストやサポート体制をじっくりと比較したうえで信頼できる会社を選びましょう。

プラスオートメーションでは、ロボットの導入に関するご相談をお受けしています。

  • 自社の物流業務の改善方法がわからず悩んでいる
  • 自動化導入で業務を効率化したい
  • 人手不足で作業が追いつかない
  • 長期的なコスト削減につなげたい
  • はじめはスモールスタートしてみたい
  • まずは話だけでも聞いてみたい

などのお悩みやご不明な点がございましたら、お気軽に以下のご相談フォームよりお問い合わせください。