物流とは?6つの目的や機能、種類についてわかりやすく解説

商品を顧客に届けるまでの流れを意味する言葉である「物流」。よく聞く言葉ではあるものの、具体的な内容について詳しく説明できない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、物流がもつ意味や目的についてわかりやすく解説します。「流通」や「ロジスティクス」と混同されがちですが、意味や目的が異なる言葉です。

物流の機能や領域の種類についてもまとめていますので、この記事を読めば物流についての理解が深まります。ぜひ最後までご覧ください。

 

1. 物流とは?流通やロジスティクスとの違いについて解説

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まず、物流の意味や目的から確認していきましょう。混同されがちな流通やロジスティクスとの違いについても解説します。

(1) 物流は商品を顧客に届けるまでの一連の流れ

物流は「物的流通」の略称であり、生産された商品を顧客に届けるまでの一連の流れを意味する言葉です。ただ輸送するだけでなく、保管・荷役・包装・流通加工などの過程が含まれるなど、多くの作業が関わってきます。

物流の大きな目的は、商品を滞りなく顧客に届けることです。そのためには、商品の生産から消費の間に生じる「時間・空間」のギャップを埋める必要があります。

例えばトレンド商品の場合、物流がうまく機能せずに出荷が追いつかない状態になってしまえば、大きな機会損失につながる恐れがあります。タイムリーに商品を届けることができても、保管や包装状態が悪ければお客様に不信感を与えてしまうかもしれません。

そうならないためにも、いかに効率よく、品質の高い商品を届けられるかが重要です。そのため物流一連の流れに関わるすべての過程を、最適化しておくことが求められます。

(2) 流通は物流と商流の2つの意味をもつ言葉

流通は、物流(物的流通)と商流(商的流通)の2つの意味をもつ言葉です。物流は商品そのものの流れを指すことに対し、商流は商品の所有権や情報など、取り引きの流れを指します。

流通は商品が生産者から消費者に渡ることを意味する幅広い言葉であり、密接な関係である物流と商流の両方がなければ成り立ちません。

(3) ロジスティクスと物流は目的が異なる

ロジスティクスは、顧客のニーズに合わせて原材料の調達・生産・販売・回収までのプロセスを適正化できるように一元管理するシステムのことです。物流を効率化することを目的としています。

物流は商品そのものの流れを指す言葉であり、滞りなく顧客に届けることが目的です。つまり物流は、ロジスティクスの一部であるとも言い換えられます。

ロジスティクスで無駄のない管理を行うことで、余剰在庫や物流コストの削減が可能です。

 

2. 物流がもつ6つの機能

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こちらでは、物流がもつ6つの機能を紹介します。

  1. 配送・輸送
  2. 保管
  3. 荷役
  4. 梱包・包装
  5. 流通加工
  6. 情報システム

それぞれ確認していきましょう。

(1) 配送・輸送

配送・輸送は商品を移動させることです。商品と消費者の空間的なギャップを埋め、トラック・鉄道・航空機など、適した手段で必要とする場所まで届けます。

それぞれ意味が異なり、輸送は海外などから物流倉庫に荷物を仕入れる際の長距離移動を表す言葉です。それに対し配送は、小売店や消費者へ届ける短距離移動を表す言葉として使い分けられます。

(2) 保管

保管は物流倉庫などに商品を預かり、在庫として留めておくことです。これにより、生産者と消費者の時間的なギャップを埋められます。

商品のなかには温度管理や賞味期限の管理が必要なものがあるなど、大きさや形状、材質はさまざまです。商品に合わせた適切な管理能力が求められます。

(3) 荷役

荷役は、入庫から出庫までの一連の流れの総称です。

  • 積み降ろし
  • 運搬
  • 入庫
  • 出庫
  • 仕分け
  • 保管
  • ピッキング

などの幅広い作業に携わり、物流業界で大きなウェイトを占めています。

荷役作業をスムーズに進めるためには、荷役担当者がお互いにフォローし合える体制を整えることが大切です。危険がともなう作業も多いため、安全対策を整えることも各倉庫の課題となります。

関連記事:荷役とは?物流倉庫内での作業内容、ともなう危険や安全対策まで徹底解説

(4) 梱包・包装

梱包・包装は商品の状態を保護する作業です。商品を適切な容器に入れることで汚れや破損から守り、緩衝材などを使用して安定した状態でお客様へ届けることを目的とします。

包装は、以下の3種類に分けられます。

  • 個装:商品自体を保護すること
  • 内装:個装した商品をまとめること
  • 外装:内装された商品をダンボールなどにまとめること

商品の種類や形状によって、適切な資材の選定や梱包・包装方法が異なります。

(5) 流通加工

流通加工は、お客様に届ける前の商品に手を加える作業のことです。例えば、以下のような作業が該当します。

  • 調理
  • 縫製加工
  • ラベル貼り
  • 値札付け
  • 袋詰め
  • セット組み
  • ラッピング など

これらの作業を物流倉庫で行い、商品に付加価値をつけることを目的としています。

(6) 情報システム

情報システムとは、倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)などを用いて物流に関わる一連の作業を管理し、効率化する役割をもつ機能です。

WMSで管理することで在庫状況をリアルタイムで把握し、賞味期限やロット管理を正確に行えるようになります。情報システム以外の5つの物流機能を効率的に行ううえで、情報システムは重要な役割を担っているのです。

 

3. 物流の領域は大きく分けて6種類

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物流は企業の活動に応じてさまざまな領域があり、日本工業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)が制定している物流の定義には大きく分けて5つの領域が記載されています。その後制定・改正を繰り返し、近年では「リサイクル」の領域が大きく関わってきました。

こちらでは、JISに記載のある5種類と新しく追加されたリサイクルを含めて6種類の領域について紹介します。

  1. 調達物流
  2. 生産物流
  3. 販売物流
  4. 回収物流
  5. 消費者物流
  6. リサイクル物流

それぞれの違いを確認しておきましょう。

(1) 調達物流

調達物流は、商品を製造するための原材料や部品などを仕入先から調達(購入)し、工場や倉庫に運び込むための物流活動のことです。

以前は低コストで大量の商品を製造することが主流でしたが、近年では「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」調達し、余剰在庫を減らす取り組みが進んでいます。

(2) 生産物流

生産物流は、調達した原材料や部品を管理し、自社倉庫や工場内で発生する物流のことです。自社工場で生産したものを自社倉庫へ移動するなど、自社間の移動を行うことで「社内物流」とも呼ばれています。

なお、生産物流は”調達物流と販売物流の中間の範囲”を担います。円滑な連携を図ることで保管や管理の最適化が可能です。また、移動するための荷役作業や完成品の検品・梱包などの作業も含まれます。

(3) 販売物流

販売物流は、完成した商品を必要とする場所まで移動するための物流のことです。物流倉庫や卸売業者、消費者などへの移動が含まれます。

多くの人が耳にする”物流”という言葉は、販売物流を指して使用されることがほとんどです。

近年ではECサイトの普及により消費者へ直接商品を届ける機会が増えました。顧客満足の向上につなげるためにも、在庫管理を最適化し、販売機会の損失を防ぐことが大切です。

(4) 回収物流

回収物流は、不具合などがあった商品などを回収する物流のことです。納品の際に使用したパレットや使い終わった容器などの回収も含まれます。

回収物流では、必ずしも配送元に商品などが戻ってくるとは限りません。回収するものによって取り扱い業者が異なる場合もあります。

(5) 消費者物流

消費者物流は、宅配便や引っ越しなど、消費者をクライアントとする物流のことです。トランクルームやレンタルスペース、EC・通販で購入した商品の納品も含まれます。

近年ではフリマアプリの需要が高まり、個人が宅配便を使用する機会が増えました。トラックドライバーの人手不足が深刻化する中で宅配便の再配達が問題視されるようになり、再配達削減に向けての取り組みが進んでいます。(参考:国土交通省/宅配便の再配達削減に向けて

(6) リサイクル物流

リサイクル物流は、リサイクルを目的とした回収のことです。回収物流とは仕組みが異なります。

自治体が行っている空き缶やペットボトル、新聞紙などを回収して再資源化することは、代表的なリサイクル物流の一例です。家電や廃パソコンなど、法律に基づいてリサイクル物流を行い、エコビジネスを強化している企業も増えています。

 

4. 物流業界は人手不足の深刻化が大きな課題

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物流業界は、少子高齢化やインターネット通販の拡大により、人手不足の深刻化が大きな課題となっています。ドライバー不足だけでなく、倉庫内で働く人も不足している状況です。

需要に対しての供給が追いつかないことで作業者一人ひとりの負担が増え、今後さらに人員が減っていくことも予測されます。深刻な人手不足に悩む企業は、少しでも早く作業環境を改善する方法を考えなければなりません。

なお、人手不足を解消する手段として、物流アウトソーシングや倉庫の自動化も有効な施策です。まずは業務の見直しを行い、問題となる部分をすべて洗い出しましょう。物流倉庫の現状を正しく把握することで、最適な改善策が見えてきます。

関連記事:物流倉庫での人手不足が深刻に!人手不足解消の有効な対策は?

 

5. まとめ

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物流は商品を顧客に届けるまでの一連の流れを意味する言葉であり、商品を滞りなく顧客に届けることが目的です。6つの機能をもち、企業の活動に応じてさまざまな領域に分類されます。

近年では物流業界の人手不足が大きな課題となっており、物流アウトソーシングや倉庫の自動化を検討する企業が増えている現状です。当社プラスオートメーションでは、「現場の課題を解決すること」を目的とし、ロボット導入の支援からシステムのインテグレーション、維持管理まですべてをワンストップで月額定額のサブスクリプションでご提供しています。 初期費用ゼロ、月額使用料のみで自動化を支援していますので、一つの対策としてぜひご検討ください。

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